![]() |
HDS-Rとは
-
日本で広く使われる認知機能スクリーニング(30点満点)。
-
一般に20/21点あたりが認知症疑いの目安とされますが、年齢・教育歴・身体/精神状態で解釈が変わります。
-
診断確定検査ではありません。 医師の診断、家族情報、日常生活情報、他検査(MMSE等)と併せて総合判断します。
実施前の準備(再現性アップの基本)
-
環境:静か・落ち着ける部屋、補聴器・眼鏡は装着。
-
前提確認:急性せん妄・うつ・疼痛・強い不安・睡眠不足が強い時は延期も検討。
-
所要時間:原則連続で実施(休憩が必要なら記録)。
-
標準化:質問文・ヒントの言い回しを固定。医療者間でミニ手順書を共有。
記録で必ず残すこと
-
反応時間(即答/遅延)、エラーの種類(見当識・遅延再生・計算など)、自己修正の有無。
-
ヒントの有無・種類(言語/ジェスチャー/反復)と反応。
-
実施条件(補助具、体位、同席者、途中休憩、服薬直後など)。
-
検者の介入は最小限に。繰り返す場合は同条件を徹底。
高次脳機能障害がある場合の注意
-
失語、注意障害、半側空間無視、遂行機能障害などが強いと、HDS-Rスコアは「認知症」を反映しにくいことがあります。
-
必要に応じて:SLTA等の言語検査、注意/遂行系の補助検査、家族/介護者からの聴取を併用。
-
スコア解釈の欄に明記:「失語の影響で回答困難」「視覚探索困難で…」など。
まず“理解力”を簡易チェック
HDS-R実施の前提として口頭指示の理解を確認します(数十秒でOK)。
-
1段階指示(例)「手を挙げて」
-
2段階指示(例)「右手を挙げて、パーを作って」
-
3段階指示(例)「右手を挙げて、パーを作って、下ろしてください」
※達成可否だけでなく、反応時間・取り違え・再提示での改善をメモ。重い難聴/視力低下が疑われる場合は、書字やジェスチャーで代替し、その旨を記録。
よくあるQ&A
Q1.HDS-Rの点数だけで認知症といえますか?
A.いえません。 HDS-Rはスクリーニング。診断には医師の臨床判断、生活歴、画像・血液・他検査の総合評価が必要です。
Q2.20点以下なら全員が認知症?
A.目安にすぎません。 教育歴や気分・睡眠・薬剤、失語/失行などの高次脳機能障害で低下することがあり、偽陽性が起こります。
Q3.再検の間隔は?
A.学習効果を避けるため数週間〜1か月程度あけるのが一般的。同一条件・同一手順で実施し、条件差は必ず記録。
Q4.失語が強い場合はどうする?
A.HDS-R単独にこだわらず、言語検査や非言語課題を併用。スコア解釈欄に言語障害の影響を明示します。
Q5.家族同席は可?
A.介入・代答が入るなら不可。 同席は可でも、回答への口出しは控えてもらい、必要なら途中から退出を依頼します。
Q6.記録で一番大切なことは?
A.点数だけにしない。 反応の質(遅延・保続・取り違え・自己修正)、ヒントの種類と効果、実施条件を具体的に残すことです。
記録テンプレ(例)
-
実施日時/場所/同席:〇年〇月〇日、診察室、家族同席なし
-
条件:メガネ使用、補聴器右のみ、疼痛なし、睡眠良好
-
反応:全般に遅延(5–10秒)、見当識×2、遅延再生0/3→ヒントで2/3
-
介入:設問文2回反復2回、ジェスチャー1回
-
所見:注意の持続低下、自己修正や保続なし
-
合計:●●/30点(言語理解軽度低下の影響ありと解釈)
必要なら、「理解力チェック」の簡易カードや標準化した問いかけ台本も作っておくと、検者間のバラつきが減って再現性が上がります。
最終更新:2025-09-27
.gif)