頸板状筋(splenius cervicis)

頸板状筋の概要

頸板状筋の起始停止

  • 板状筋群の一つ(もう一つは頭板状筋)。

  • 頸の伸展・同側回旋・同側側屈の主力。両側収縮で伸展、片側収縮で同側回旋・側屈。

  • 表層に位置する固有背筋(浅層)で、筋腹は肩甲挙筋・胸鎖乳突筋の深層を斜走。姿勢保持(下位頸椎アライメント維持)に大きく寄与。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経の後枝
髄節 C4–C8相当(文献差あり。実臨床では C6–C8優位)
起始 T3–T6(※T3–T5と記す資料もあり)の棘突起
停止 C1–C3(~C4)横突起後結節
動作 頸部伸展(両側)同側回旋・同側側屈(片側)
筋体積 10.1
筋線維長 10.2
速筋:遅筋(%) 50.050.0

触診のコツ

頚板状筋

  • 体位:座位または伏臥位。

  • ランドマークC1–C3横突起後結節の直外側深部

  • 確認:軽い同側回旋+伸展で深層に張りが立つ。胸鎖乳突筋・肩甲挙筋の深層を意識して分層触診。

ストレッチ

頸板状筋|ストレッチ方法

  • 伸ばしたい側がなら:
    **頸屈曲 → 右側の筋を離す方向へ“左回旋+左側屈”**を小さく追加。20–30秒×2–3回。

  • ポイント:頸だけでなく上位胸椎も軽く屈曲させると選択性UP。

筋力トレーニング(安全・協調重視)

  • 等尺性伸展:額に手(またはタオル抵抗)を当て、頸伸展で5秒保持×8–10回

  • 等尺性同側回旋:頬に手を当て、同側へ回そうとする力に軽抵抗。

  • 目的は**過負荷強化より、協調と持久(遅筋系)**の再学習。

トリガーポイント(TP)


臨床メモ

  • 画面が片側にある作業前方頭位で過緊張⇔抑制が混在しやすい。

  • 隣接筋(頭板状筋・肩甲挙筋・半棘筋)との層別戦略が有効。まず胸椎回旋・伸展の可動性を整えると頸の負担が減る。

  • 板状筋群はSPL(スパイラルライン)に関与。なお乳様突起付着は主に頭板状筋で、頸板状筋はC1–C3横突起止まり(顔面神経への直接影響を語る場合は慎重に)。


よくある質問(Q&A)

Q1:頭板状筋との違いは?
A:頭板状筋乳様突起/上項線に停止し、頭位(AO・AA含む)の制御寄与が大。頸板状筋はC1–C3横突起に停止し、**頸(下位頸椎)**の向きと姿勢保持に強い。

Q2:頸半棘筋との役割の違いは?
A:頸板状筋=同側回旋が得意(横突起外側へ斜走)。頸半棘筋=反対側回旋が得意(横突→棘突の横突棘系)。併用で回旋の微調整を担う。

Q3:ストレッチでめまいが出るのは?
A:頸伸展や回旋で椎骨動脈系が過敏な場合がある。痛み・しびれ・めまいが出たら即中止し、小さな可動域呼吸同期で。

Q4:どの検査が有用?
A:同側回旋+伸展抵抗での痛み/筋力感、姿勢保持(画面位置変更)での自覚変化。画像より機能評価が実用的。


最終更新:2025-10-07