頸椎に存在する関節の構造と関節可動域の測定方法

頸椎に存在する関節の構造と関節可動域について解説していきます。

頸部の関節について

頸椎には、①環椎後頭関節、②環軸関節(正中・外側)、③椎間関節の三つの関節が存在しています。

それぞれで構成する場所や関節可動域が異なるので、ひとつずつ分けてから解説していきます。

環椎後頭関節の概要

環椎(第1頸椎)と後頭骨から構成される楕円関節に近い関節です。頭部と脊椎をつなぐ重要な部分になります。

関節可動域は屈伸が約13度、側屈が約8度、回旋の動きはありません。

環椎後頭関節後面

環軸関節の概要

第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)から構成される関節で、中央の歯突起が入り込む正中環軸関節と、外側の椎間関節にちかい外側環椎関節から成ります。

関節可動域は屈伸が約10度、回旋が約47度、側屈の動きはありません。脊椎で最大の回旋可動域を担っています。

環軸関節後上面

椎間関節の概要

第2頸椎以下はすべて上下の椎骨同士で椎間関節を構成しています。(第2頸椎は下部のみ、第5腰椎は上部のみ)

椎間関節は平面関節であるため可動域はわずかですが、いくつもの椎間関節が可動することによって大きな可動性を得ています。

椎間関節側面

脊椎間の関節可動域(単位:度)

部位 屈伸 側屈 回旋
0c.-C1 13 8 0
C1-C2 10 0 47
C2-C3 7 10 9
C3-C4 13 11 11
C4-C5 12 11 12
C5-C6 17 8 10
C6-C7 16 7 9
C7-T1 9 4 8

※数値は代表的な値を記入しています。(White et al. 1978)

頸部の関節可動域と測定方法

運動方向 参考角度 基本軸 移動軸 参考図
屈曲 60 肩峰を通る床への垂直線 外耳孔と頭頂を結ぶ線 頸部屈曲・伸展
伸展 50
回旋 60 肩峰を結ぶ線への垂直線 鼻梁と後頭結節を結ぶ線 頸部回旋
60
側屈 50 C7-S1棘突起を結ぶ線 頭頂とC7棘突起を結ぶ線 頸部側屈
50

頸部屈曲では、胸椎・腰椎部の屈曲、伸展では胸椎・腰椎部の伸展といった代償的な動きを防止します。

頸部回旋では、胸腰椎の回旋による代償運動を防止するために、検者は両膝を背側に軽くあてがうなどの工夫が必要となります。

頸部側屈では、胸腰椎の側屈と体幹全体を骨盤から左右に傾斜させるといった代償的な動きを防止します。

頸椎の動きに作用する筋肉(貢献度順)

方向 筋肉
屈曲 斜角筋群、舌骨下筋群、椎前筋群
伸展 板状筋群、半棘筋群、脊柱起立筋、後頭下筋
側屈 胸鎖乳突筋、斜角筋群、脊柱起立筋、板状筋群
回旋 胸鎖乳突筋(反対側回旋)、板状筋群(同側回旋)、脊柱起立筋、回旋筋

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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