顎の痛み(顎関節症)を引き起こす筋肉

顎関節症は20〜30歳代の女性に多く(男性の約2倍)、頭部前方位による噛み合わせの悪さなどが原因にあると考えられています。

症状としては、①口を開けようとすると顎が痛む、②口を開けづらい、③顎の関節から音が鳴るなどが挙げられます。

以下に、顎関節痛を起こす代表的な筋肉を記載していきます。

①咬筋

咬筋は顎関節痛や開口制限を起こす代表的な筋肉であり、耳の奥の痛みや耳鳴、頭痛などを引き起こすこともあります。

痛みを伴う筋膜のトリガーポイントが現れやすい場所の中で、咬筋は1位または2位にランクインするともいわれています。

咬筋は身体で最も力強い筋ともいわれており、顎のすべての協働筋とともに、切歯で25kg、臼歯で90kgの強さで歯を閉じることができます。

②側頭筋

側頭筋も顎関節痛や開口制限の原因となりやすく、側頭部痛や上顎痛などを引き起こすこともあります。

歯軋りの有無、口の片側で物を噛む癖、歯を噛み締める癖がないかを確認し、歯科的ケアや姿勢指導を行うことも重要です。

③内側翼突筋

内側翼突筋は咬筋や側頭筋と同じく、口を閉じる筋肉であり、硬くなることで開口制限をきたすことになります。

前述した2つの筋肉と異なり、下顎骨の中に存在するため、顔の表層から直接触れることはできません。

内側翼突筋の触診方法としては、施術者は口の中に手を入れて、口腔内から粘膜を介して触れる必要があります。

ただし、日本では口腔内の施術を行えるのは医師または歯科医師のみであり、実際に口の中からアプローチすることはできません。

④外側翼突筋

外側翼突筋は上頭と下頭があり、上頭は閉口に関与し、下頭は開口に関与するといった特徴があります。

外側翼突筋も内側翼突筋と同様で口の中に手を入れないと直接的なアプローチができないため、実際に施術することは困難です。

⑤顎二腹筋

最後に顎二腹筋ですが、前方と後方に2つの筋腹を持っており、それが名前の由来にもなっている筋肉です。

前腹にトリガーポイントが形成されると、下顎や口底部に関連痛が出現し、開口時に痛みが増悪します。

後腹にトリガーポイントが形成されると、側頚部や顎周囲に痛みが放散し、開口時に痛みが増悪します。

顎二腹筋は顎関節症の原因としては稀ですが、前述した筋肉にアプローチしても改善がみられない場合は確認する必要があります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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