鵞足炎のリハビリ治療

鵞足の概要

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  • 鵞足=脛骨近位内側に扇状に付着する縫工筋・薄筋・半腱様筋の総称。

  • 鵞足炎=これら腱と**内側側副靱帯(MCL)**がこすれ、腱(or 滑液包)に炎症が起きた状態。

  • 起こしやすい肢位:大腿骨内旋/下腿骨外旋/膝外反(=“ねじれ+ニーイン”)。

  • 最も関与しやすい筋薄筋(股関節屈曲・内転、膝屈曲・外反、下腿内旋に作用)。


発生機序(なぜ痛くなる?)

  1. 屈伸反復やラン・方向転換などで鵞足とMCLが擦過

  2. 摩擦緩衝のための鵞足滑液包が刺激を受ける

  3. 内外旋のねじれ+外反があると張力↑&圧迫↑ → 炎症・痛み


鑑別が超重要(見逃しやすい相手)

  • MCL損傷:外反ストレステストで疼痛/動揺性。

  • 内側半月板:屈伸+回旋で関節内クリック/ロッキング。

  • 内側膝蓋支帯由来痛:膝蓋骨の外下方モビリティ低下を伴うことあり。

  • 下腿外旋症候群:下腿外旋位固定で鵞足張力↑。

  • 画像は超音波が実用的(腱・滑液包肥厚、血流増加)。


評価のフレーム:3つの推論

① 力学的推論(どのストレスで痛む?)

  • 増悪要因

    • 股関節内転モーメント↑:骨盤内方位、COM内方偏倚、対側骨盤下制、外転位荷重の崩れ

    • 膝内反モーメント↑:ニーイン(knee-in)、骨盤/COM/COPの内方偏倚

    • 膝内旋モーメント↑:大腿内旋×下腿外旋(同方向回旋ならモーメントは小)

  • 歩行・スポーツの疼痛出現局面(立脚前半/後半・着地・切り返し)を特定。

② 組織学的推論(どこが痛んでいる?)

  • 薄筋腱を筆頭に、縫工筋腱・半腱様筋腱鵞足滑液包MCL深層を触診・伸張痛で鑑別。

  • 併発しやすい大腿内側筋膜の滑走不全内側広筋過緊張→内側膝蓋支帯硬化もチェック。

③ 時間的推論(どのステージ?)

  • 急性/亜急性/慢性を見極め、炎症所見(熱感・腫脹)と機械的因子を分離。

  • 器質的変化(肥厚・線維化・骨変化)に移行する前に負荷線の是正が肝。


リハビリ(段階別の実践)

急性期(痛み・腫れが強い)

  • RICE(とくに相対的安静+クーリング)/外反ストレスを減らすテーピングまたはソフトブレース

  • 痛みなく動ける範囲でのROM、等尺性の軽い収縮(内転筋・ハムは痛み誘発を回避)

亜急性〜慢性期(原因の是正)

1. 力学ストレスの修正

  • ニーイン/内旋の是正

    • 中殿筋・小殿筋(外転/外旋)と**股関節伸展筋(大殿筋)**強化

    • 足部アーチ機能(過回内是正)— ヒールピボット、ショートフットなど

  • ラン・着地フォーム:膝正中ライン維持、ケーデンス上げで一歩衝撃↓、接地幅をやや広く

  • 歩行:立脚中期の骨盤水平保持、COMの内方偏倚を抑える

2. 組織治療(痛源へのアプローチ)

  • 薄筋・縫工筋・半腱様筋滑走改善/ストレッチ(痛み0–3/10で止める)

  • 鵞足滑液包周囲圧迫や強摩擦を避けた穏やかなモビライゼーション

  • 併存する内側広筋過緊張内側膝蓋支帯の軟部組織リリース

3. 筋機能再教育

  • 股関節主導のスクワット/ランジ(膝内側へ潰さない)

  • 片脚立位で骨盤水平・膝トラッキングのフィードバック

  • 実競技に合わせた切り返し・減速ドリル(膝正面・体幹前傾・股関節屈曲を強調)

4. 競技復帰指標(例)

  • 圧痛消失、片脚スクワット×10で膝アライメント良好

  • 痛みなく10–15分の連続ランスピード/距離段階的増量


セルフケアの核心

  • ラン後 氷10–15分内側ハム・内転筋の穏やかなストレッチ

  • 週2–3回の中殿筋・大殿筋強化(サイドブリッジ、モンスタウォーク等)

  • 靴/インソールで過回内を是正、坂・カンバ―路面は回避


よくある質問(Q&A)

Q1. 走ってもいい?
痛み0–3/10以内で翌日増悪がなければ短時間のジョグから。悪化するなら中断→負荷線修正を先に。

Q2. 電気治療やマッサージだけで治る?
一時鎮痛はあり得ますが、力学的原因を直さないと再発します。フォームと筋機能の再教育が本丸。

Q3. 注射や薬は必要?
炎症が強い時にNSAIDs滑液包内ステロイドを選ぶことがありますが、運動療法と併用が前提。

Q4. いつ整形外科や画像検査?
安静+適切な介入で2–4週間改善が乏しい/夜間痛・発熱・急な腫脹/ロッキングがあれば受診・画像(US/MRI)検討。


最終更新:2025-10-05