股OAの特徴的な姿勢
まずは変形性股関節症における特徴的な立位姿勢について図を掲載します。
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なぜこのような姿勢変化が起きるかについてですが、ひとつひとつの変化には必ずそこに理由が存在します。
それを理解しておかないことには、その患者に必要な治療は提供できません。なので、ここではひとつずつ原因を解説しながら進めていきます。
変形性股関節症の原因
股OAを引き起こす先天的な要因として、臼蓋形成不全があります。臼蓋とは、大腿骨頭がはまり込む関節窩のことです。
臼蓋が浅い又は狭くなっている場合は、関節を安定させることができず、通常よりも関節への負担が増して摩耗しやすい状況にあります。
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股関節における臼蓋は、30-40度ほど前側方を向いているため、伸展および外旋位で骨頭のはまり込みが浅くなり、脱臼しやすい状態にあります。
腸腰筋が短縮して骨盤が前傾位となるのは、骨頭を脱臼しにくい後方に安定させることで、少しでも不安定性から逃れるためといった理由があります。
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骨盤が後傾している場合
変形性股関節症では腸腰筋が短縮して骨盤が前傾位となっている場合が多いのですが、ときには骨盤が後傾位となっている方もおられます。
その場合、股関節は伸展している状態と同じなので、関節の形成面積が減少して不安定となってしまいます。
その場合は、姿勢を矯正するための訓練(骨盤後傾の改善)を実施して、関節の安定化が必要となります。
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中殿筋が萎縮する理由
次に中殿筋が筋委縮をきたす理由ですが、痛みや運動量の低下に伴う股関節周囲筋の低下による影響が大きいです。
また、頚体角の減少や大転子高位といった形状の変化に伴い、中殿筋の距離が短縮して張力を失うといった問題の影響もあります。
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中殿筋の筋力が低下すると、それを補うために起立時などでは内転筋の活動が増大することになります。
そうやって常に緊張状態を強いられた内転筋は硬くなり、過緊張や短縮といった状態を起こします。
股関節の内転運動は骨頭を関節窩から引き離して関節を不安定とするため、実際は内転の動きも制限するように調整されます。
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屈曲以外の方向が制限される
上記の理由によって、徐々に股関節周囲筋は短縮や萎縮が起きていき、結果的には屈曲以外の動きがすべて制限されることになります。
ただし、これらの制限は関節を安定させるために起こっている代償的な制限の部分も多いので、可動域の改善を目指す際は安定性への配慮が必要です。
股OAはやみくもにアプローチすると悪化させてしまうリスクが非常に高いため、問題を改善させる理由を明確に持って実施してください。
歩行所見と意味
① 速度低下+伸展相の短縮
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大殿筋の出力低下と腸腰筋短縮で股伸展が出にくい → 立脚中期〜後期が短く、膝伸展も出にくい。
② トレンデレンブルグ歩行

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患側立脚で健側骨盤が下がる。
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原因は“筋力そのものの不足”だけでなく、収縮発現の遅れ(痛み・拮抗筋過緊張・筋張力低下)が多い。
③ デュシェンヌ(体幹側方傾斜)歩行

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体幹を患側に傾け股外転モーメントを減らす=中殿筋負荷↓。
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反面、関節反力は増えやすく骨・関節面の負担↑。
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どの代償にも利点と欠点があることを説明し、最適な分散を探る。











