腓骨の場所と付着する筋肉について

腓骨の概要

腓骨(fibula)は下腿外側(小趾側)に位置する細い長骨で、脛骨の外側をほぼ平行に走ります。骨幹部は三角柱状でわずかにねじれがあります。

  • 近位端:脛骨と上脛腓関節を構成

  • 遠位端(外果):距骨とともに**距腿関節(足関節)の外側壁を成し、脛骨とは下脛腓関節(脛腓シンデスモーシス)**を構成

  • 機能的特徴:腓骨は**体重支持は少量(≒10%以下)**で、靭帯付着と外果の形状により足関節安定性へ大きく寄与します。起始を持つ筋は多い一方、停止を持つ筋は大腿二頭筋のみで、静的安定化要素としての役割が大きい骨です。

類似する性格の骨:骨盤(寛骨)や手根骨の一部も、運動そのものより固定・安定化への寄与が大きい点で共通します。

腓骨

各部位の名称と役割について

1.前面から見た腓骨
腓骨前面|部位の名称
2.後面から見た腓骨
腓骨後面|部位の名称
部位 機能・特徴 起始/停止・付着・通過
腓骨頭尖 膝外側の触診指標 **外側側副靭帯(膝)**が付着
腓骨頭関節面 上脛腓関節の関節面
腓骨頭 近位端の膨隆 長腓骨筋・ヒラメ筋が起始/大腿二頭筋が停止
骨間縁 前縁〜内側 下腿骨間膜が付着
腓骨体 前面 長趾伸筋(の一部)・長母趾伸筋・第三腓骨筋が起始
腓骨体 外側面 長腓骨筋・短腓骨筋が起始
腓骨体 後面 後脛骨筋(の一部)・長母趾屈筋が起始
外果関節面 距骨滑車の外側に対応 距腿関節を構成
外果(外果尖) 足関節外側の安定化 **前距腓靭帯(ATFL)・踵腓靭帯(CFL)・後距腓靭帯(PTFL)**が付着
外果溝 外果後方の溝 長腓骨筋腱・短腓骨筋腱が通過
外果窩 外果後深部のくぼみ **後距腓靭帯(PTFL)**が付着
上脛腓関節 平面関節(滑走) 足関節運動に伴いごくわずかに動く
下脛腓関節 線維性結合(シンデスモーシス) 足関節背屈でやや離開・外旋傾向、底屈で接近・内旋傾向(いずれも微小)

臨床メモ(運動学・触診のコツ)

  • 足関節背屈下脛腓関節はわずかに離開+腓骨の外旋が起こり、モルタル状の距腿関節の外側壁としての外果がクリアランスを確保します。

  • 外果後方の腱溝には腓骨筋腱(長・短)が走行し、腱脱臼や腱鞘炎の鑑別で重要。

  • 腓骨頭大腿二頭筋停止膝外側側副靭帯付着部で、腓骨神経(総腓骨神経)が近傍を走行—圧迫に注意。


Q&A

Q1. 腓骨は足関節のどこに効くの?
A. 外果の形状と靭帯付着(ATFL/CFL/PTFL)により、距腿関節の外側安定性を担います。腓骨自体の体重支持は少量ですが、安定化には不可欠です。

Q2. 上脛腓関節・下脛腓関節はどれくらい動く?
A. いずれも微小です。上脛腓関節は滑走、下脛腓関節は線維性結合で、足関節背屈・底屈に同調してわずかに開閉・回旋が生じます。

Q3. 腓骨に停止する筋が大腿二頭筋だけなのはなぜ?
A. 腓骨は静的安定化への寄与が主で、筋の起始基盤としての役割が大きい構造だからです。遠位は靭帯付着が機能上重要です。

Q4. 触診で外果溝の意義は?
A. 長・短腓骨筋腱の走行路で、腱鞘炎や腱脱臼の評価ポイントになります。外果後方で腱のスナッピングを確認します。


最終更新:2025-09-16