この記事では、鎖骨下筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
鎖骨下筋の概要
鎖骨下筋は、名前の通りに鎖骨の下方を通過している筋肉になります。
第1肋骨の胸骨端(肋軟骨の手前)から起始して、肋骨下面外側にある肋骨下筋溝という部位を沿うようにして付着しています。
そのため、鎖骨が上外方に引っ張られるのを防ぎ、胸鎖関節を安定させる働きを持っています。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 鎖骨下神経 |
髄節 | C5,6 |
起始 | 第1肋骨の胸骨端 |
停止 | 鎖骨下面の外側 |
動作 | 胸鎖関節の安定、鎖骨の前下方に引く |
栄養血管 | 胸肩峰動脈(鎖骨枝) |
筋体積 | 9㎤ |
筋線維長 | 2.0㎝ |
鎖骨下筋の役割
鎖骨下筋の下方には、腕神経叢や鎖骨下動静脈といった重要な神経や血管が通過しているため、鎖骨が折れた際に損傷を防ぐ役割があります。
折れたときをイメージしていただくとわかりやすいですが、下方の両端がゴムで引っ張られているので、折れたらチューブが引きよせられて骨折部は上向きになります。
鎖骨下筋の触診
鎖骨下筋は大胸筋鎖骨部に表層を覆われており、筋体積も小さいので触知することは非常に難しいです。
さらに鎖骨下筋は鎖骨のやや後方を走行し、指示通りに筋収縮を起こせないために触知からの鑑別もわかりづらい筋になります。
下方には腕神経叢や鎖骨下動脈・静脈が通過しているため、鎖骨下動脈を拍動を触知してから、その上方で筋の走行をイメージしながら触れます。
巻き肩(肩甲骨内旋)の原因
鎖骨下筋の停止付近に存在する筋膜は高密度化が生じやすく、その筋膜に引き寄せられる形で巻き肩となります。
鎖骨下筋が原因の筋膜性疼痛がある場合は、上肢の水平内転運動で胸鎖関節に痛みが起こります。
筋膜の高密度化に対しては筋膜マニピュレーションが効果的であり、鎖骨の中1/3の尾側を解きほぐすようにリリースしていきます。