母趾内転筋(adductor hallucis)

母趾内転筋の概要

母趾内転筋の起始停止

  • 横頭(transverse head)と 斜頭(oblique head)をもつ二頭筋。

  • 主作用は母趾MTP関節の内転(=第2趾方向へ)。斜頭MTP屈曲の補助も担う。

  • 母趾外転筋・短母趾屈筋と協調して前足部横アーチ(遠位横アーチ)を支持。これらの機能不全は外反母趾・開張足・中足骨頭部痛につながる。

基本データ

項目 内容
支配神経 外側足底神経
髄節 S2-3
起始 横頭:第3–5 MTP関節底側靱帯深横中足靱帯
斜頭第2–4中足骨底立方骨・外側楔状骨、(+長腓骨筋腱鞘近傍
停止 母趾基節骨底の外側外側種子骨(外側種子骨装置)
動作 横頭:母趾MTP内転前中部横アーチの支持
斜頭:母趾MTP内転+屈曲補助前中部横アーチの支持

機能と臨床メモ

  • 外反母趾(Hallux valgus)では、しばしば母趾内転筋の相対的優位(短縮/過緊張)と母趾外転筋の弱化が共存。

  • 遠位横アーチ低下(開張足)があると第2・3中足骨頭に荷重集中胼胝/中足骨頭部痛へ。

  • 介入は内転筋の過緊張を緩める+外転筋・短母趾屈筋の再教育、必要に応じ横アーチ支持インソール

外反母趾と母趾外転筋


触診のコツ(臨床)

  • 横頭:第3–5 MTP底側を横走する索状線維を遠位横アーチ沿いに触察。

  • 斜頭:第2–4中足骨底から母趾基節骨外側/外側種子骨へ斜走する深部線維を、母趾MTP軽度屈曲+内転抵抗で浮かせる。


セルフケア

  • ストレッチ:母趾を外転(第2趾から離す)+背屈。足関節は中間位で、30秒×2–3回

  • アクティベーション(拮抗筋):母趾外転筋の分離収縮(母趾を第2趾から離す)→短母趾屈筋の基節屈曲ドリル。

  • 注意種子骨部痛がある場合は無痛域で実施し、必要に応じ負荷・角度を縮小


トリガーポイント(TP)

  • 主訴:母趾の足底内側〜中足骨頭付近の圧痛と踏み返し時のピリッとした痛み、+第2趾付近までの違和感。

  • 誘因:外反母趾や幅の狭い靴で母趾が内転位を強いられる動作の反復、つま先荷重での歩行・立位の持続。


よくある質問(Q&A)

Q1:外反母趾では母趾内転筋は必ず弱い?
A:短縮/過緊張が目立つことが多い。まずはリリースとストレッチ、並行して母趾外転筋・短母趾屈筋の再教育を。

Q2:横アーチ支持は本当に効く?
A:疼痛軽減や荷重再配分に有効な例が多い。母趾内外転筋・FHBの機能トレ併用すると効果的。

Q3:種子骨炎との見分けは?
A:基節屈曲/内転抵抗で筋性痛が再現するなら内転筋関与が強い。直接圧痛が種子骨中央に限局し、荷重で鋭い痛みなら種子骨炎を疑う。

Q4:トレで母趾が曲がりすぎる(IP屈曲)
A:FHL代償基節で曲げる cueを入れ、IPは軽伸展を保つ。

Q5:インソールなしでも改善できる?
A:可能。**筋機能の再学習+靴の見直し(広めのトゥボックス)**で十分改善する例もある。


最終更新:2025-10-07