この記事では、短母趾屈筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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短母趾屈筋の概要
短母趾屈筋は足底内側に位置する内在筋で、表層は足底腱膜や母趾外転筋、長母趾屈筋腱に覆われています。
停止部が内側と外側の2頭に分かれており、内側は母趾外転筋と、外側は母趾内転筋とそれぞれ癒着しています。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 内側頭:内側足底神経(L5-S1) |
外側頭:外側足底神経(S1-2) | |
起始 | 立方骨下面の内側、楔状骨、外側楔状骨、後脛骨筋の腱 |
停止 | 内側頭:第1基節骨の底(内側種子骨経由) |
外側頭:第1基節骨の底(外側種子骨経由) | |
動作 | 母趾MP関節の屈曲 |
血管支配 | 第1底側中足動脈 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
母趾屈曲 |
1位 | 長母趾屈筋 |
2位 | 短母趾屈筋 |
短母趾屈筋の触診方法
写真では、足関節を完全底屈位に保持した肢位での母趾MP関節の屈曲運動にて、短母趾屈筋を起始部(立方骨下面の内側)で触診しています。
足底には厚い脂肪組織があり、本筋はその深部に位置しているため、触診が困難となる場合も少なくありません。
そのため、長母趾屈筋腱の内側又は外側から深部に指を押し入れて、母趾を屈伸させると触知しやすいです。
母趾を最大伸展すると足底内側に長母趾屈筋腱が膨隆します。
短母趾屈筋は長母趾屈筋腱の左右を内側頭と外側頭がほぼ平行に走行しています。
ストレッチ方法
両手で母趾を把持して手を引き寄せていき、母趾を背屈させていきます。
その際に足関節の背屈が入ると長母趾屈筋が伸張されるため、母趾のみを背屈することで短母趾屈筋を選択的にストレッチできます。
筋力トレーニング
床にタオルを伸ばして引いて、その端を母趾で掴みながら、少しずつたぐり寄せていきます。
足関節を底屈位で行うことにより、長母趾屈筋の収縮を弱めることができるので選択的に短母趾屈筋を鍛えることが可能です。
圧痛点と関連痛領域
短母趾屈筋の圧痛点(トリガーポイント)は筋腹に出現し、関連痛は主に第1中足骨頭に起こり、第2趾まで波及する場合もあります。
関連する疾患
開張足/中足骨頭部痛
短母趾屈筋・母趾外転筋・母趾内転筋の重要な役割として、遠位横アーチ(前足部横アーチ)の保持があります。
それらの筋肉に機能不全が生じた場合は、遠位横アーチが低下して開張足となり、第2・3中足骨頭部に圧が集中します。
その状態が続くと圧が加わる場所に痛みが起きたり、胼胝(タコ)ができることにつながります。