胸半棘筋(semispinalis thoracis muscle)

胸半棘筋の概要

胸半棘筋の起始停止

  • 横突起 →(2~6椎上)→ 棘突起へ斜走する横突棘筋群(半棘筋)のうち、最も長く内側を走る胸部ユニット。

  • 多裂筋の浅層を貫き、上方は頸半棘筋に移行。

  • 作用は胸椎伸展(両側)・反対側回旋(片側)が主だが、実臨床では分節安定化への寄与が大きい。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経の後枝
髄節 走行レベルに対応するT・C領域の多節性支配(例:T6–T10由来 → C6–T4付着)
起始 T6–T10(~T11)横突起
停止 C6–T4(~T3)棘突起
動作 胸胸椎の伸展反対側回旋、同側側屈は小/脊柱安定化
速筋:遅筋(%) 55.045.0

触診・評価のコツ

  • ランドマーク:胸椎棘突起列の直外側・深部で、多裂よりやや外側の細長い束を想定。

  • 収縮テスト:軽い胸椎伸展+反対側回旋で深部の張りが立つ。表層の胸最長筋(太く外側)との層差に注意。


ストレッチ

  • 椅子座位で胸椎を丸め(屈曲)、伸ばしたい側の反対方向へ軽く側屈+同側回旋を小さく追加。
    20–30秒 × 2–3回。痛み・しびれが出る角度は避ける。

筋力トレーニング(安全第一)

  • 伏臥位で胸椎中心のミニエクステンション(腰の反り代償はNG)。

  • 等尺性反対側回旋:前腕で胸郭を固定し、胸椎でわずかに反対側へ押し返す(5秒×8–10回)。

  • 目的は高負荷強化より協調と安定性の再学習。


クリニカルメモ

  • 前屈作業や長時間座位で抑制されやすく、多裂筋との協調不全が起きると胸椎伸展の初動で代償増。

  • 介入は 胸郭モビリティ(回旋・側屈)→多裂の賦活→半棘の等尺 の順が安定。

  • 片側の張りは一方向回旋の反復(モニター位置・姿勢習慣)と関連しやすい。


よくある質問(Q&A)

Q1:胸最長筋との違いは?
A:**胸最長筋=横突起—横突起(起立筋列)**で姿勢維持・同側側屈が得意。胸半棘筋=横突起—棘突起(横突棘列)で反対側回旋・安定化が強み。

Q2:半棘筋は伸展筋ですか?安定化筋ですか?
A:両方ですが、臨床的には**安定化(抗剪断・抗回旋)**の役割が大きく、等尺性の賦活が有効です。

Q3:ストレッチのコツは?
A:胸椎主導で行うこと。頸・腰で代償しないよう、呼吸をゆっくり合わせて可動域を小さく保つ。

Q4:痛みが出るのはどんな時?
A:反復前屈+素早い伸展一方向回旋の作業。作業環境の回旋左右差を整えると改善しやすい。

Q5:多裂筋と同時に鍛えるべき?
A:はい。分層で多裂→半棘→最長の順で賦活すると、再現性と安定性が上がります。


最終更新:2025-10-07