変形性膝関節症が起こる機序について解説

要約

  • 多くの例で、膝蓋大腿関節(PF関節)から問題が始まり、やがて大腿脛骨関節(FT関節)の内側変性へ波及します。

  • 起点になりやすいのは膝蓋骨の外側偏位+外側組織の硬さと、内側広筋(VMO)の機能不全

  • その結果、歩行時に**ラテラルスラスト(膝の外側揺れ)**が生じ、O脚方向の内側荷重が強まり、**変形性膝関節症(KOA)**に進展します。


レントゲンで何が起きている?

  • スカイライン像(膝蓋骨軸位):膝蓋骨が外側へ偏位/傾斜。→ PF関節の外側コンフリクトが起きやすい。

  • 側面像:膝蓋骨と大腿骨滑車の関節裂隙が狭小、膝蓋骨の骨硬化・肥厚パテラセッティングで軋轢音

  • 正面像:PF関節症の段階では目立つ所見が乏しいことも多い(FT関節の変形がまだ軽い)。


PF関節症 → KOAへ進む道筋

  1. 外側広筋優位+外側膝蓋支帯の短縮
    → 膝蓋骨が外側へ引かれる/内側広筋(VMO)は働きにくい。

  2. 膝蓋下脂肪体の“逃げ場”が減る
    → 摩擦・炎症で痛み/滑走不全。

  3. VMOのタイミング低下
    → 歩行でラテラルスラスト(膝が外へブレる)。

  4. 外側ブレ=内反モーメント増大
    FT関節内側の軟骨・骨に慢性荷重 → O脚方向に進行KOA

一度変形したFT関節は原状回復が困難。PF段階での介入が予防のカギです。


介入(PF段階でやるべきこと)

1)外側拘縮を解く

  • 外側膝蓋支帯ストレッチ/モビライゼーション
    膝伸展位で膝蓋骨を内側・尾側へソフトに誘導

  • 外側広筋・腸脛靭帯の軟部組織リリース

2)膝蓋下脂肪体の“通り道”を作る

  • 膝蓋骨を軽く尾側へ押さえ裏へ脂肪体を誘導(痛み0–3/10で)。

  • その後に他動~自動の屈伸で滑走を再学習。

3)VMO(内側広筋斜走線維)の“タイミング”を戻す

  • 素早い小振幅のパテラセッティング(クイックセット)
    10–15回×3セット、テンポ良く/痛みの出ない可動域で。

  • 末期伸展域の膝伸展(TKE)足尖外旋をわずかに入れてVMO狙い

  • 歩行ドリル:接地直後に膝が外へ逃げないよう股関節外転・外旋筋と同期。

4)荷重線と足部の調整(必要に応じて)

  • 内側縦アーチ・後足部アライメントの補正(テーピングやインソール)。

  • 体重管理、階段・坂道の減量負荷戦略

介入順序:外側を緩める → 脂肪体の滑走確保 → VMOの促通 → 歩行で統合


よくある質問(Q&A)

Q1:半月板や軟骨が削れたから痛いのですか?
A:痛みは多くが滑膜や脂肪体の刺激に由来。PF段階では組織の滑走不全を解くと痛みが軽減しやすいです。

Q2:筋トレはスクワットで十分?
A:PF段階ではVMOの素早い立ち上がりが肝。まずはクイックなパテラセッティング→TKEを優先し、フォームを保てる範囲でスクワットへ。

Q3:膝蓋骨は自分で動かしてもいい?
A:強圧は禁物。痛みが出ない軽圧で、方向は内側・尾側が基本。怖さがある方は専門家のもとで。

Q4:どれくらいで変化が出ますか?
A:個人差はありますが、2~4週で軋轢感や歩行時のブレが軽くなる例が多いです(適切な頻度・負荷管理が前提)。

Q5:水(関節液)が溜まっている時は?
A:炎症コントロールを最優先。腫脹が強いとVMOは入りにくいため、医師の指示下で安静・冷却・圧迫・挙上を併用します。


最終更新:2025-10-08