ゴール設定の意義
リハビリテーションにおいてゴールを設定することは、患者とセラピストが同じ目標を共有し、漫然としたリハビリを避けるために欠かせません。
また、ゴール達成の有無を確認することで、
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治療効果の判定
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治療法の妥当性の検証
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次のアプローチの改善
につながります。したがって、正しい知識を持ってゴールを設定することは、セラピストにとって必須のスキルといえます。
ゴール設定の位置づけ
ゴール設定は、急性期・回復期・維持期のすべての時期に必要なプロセスです。
近年は漫然とした維持期リハに対する見直しが進んでおり、今後もリハビリの必要性を示すには、効果判定と根拠に基づいた治療が求められます。
ゴール設定の5つのポイント
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「方針」と「ゴール」を混同しない
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「速く走れるようになる」=方針
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「3カ月後までに100mを11秒で走る」=具体的なゴール
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「いつ」「どうなるか」を明確にする
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期間と達成レベルを具体的に設定する。
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「いつ」は一律に決めない
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病態や背景によって柔軟に設定。
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経過や結果に先行して設定する
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先に目標を示し、その達成度を追う。
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生活をイメージして設定する
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患者が生活を見据えた内容にする。
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エビデンスに基づく設定
ゴール設定には医学的根拠(ビッグデータや研究結果)を活用することが重要です。
例:脳卒中患者の病棟歩行自立までの期間
| 入院時レベル | 起き上がり自立 | 移乗自立 | 病棟歩行自立 |
|---|---|---|---|
| 寝返り自立 | 20日 | 38日 | 90日 |
| 起き上がり自立 | – | 32日 | 52日 |
| 移乗自立 | – | – | 26日 |
このようなデータを基に「入院時に寝返りが自立 → 病棟歩行自立まで約3カ月」と設定できます。
ただし、高次脳機能障害・認知症・筋緊張の状態などを加味し、経験則と組み合わせて精度を高めることが求められます。
職種別のゴール設定
総合的なゴールに加え、各職種が専門性に基づきゴールを設定することで、より明確な全体像が描けます。
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医師:病状や障害に関する予後予測
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看護師:リスク管理、ADL/IADLの目標
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理学療法士(PT):基本動作・移動能力
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作業療法士(OT):ADL・IADL能力
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言語聴覚士(ST):嚥下機能、コミュニケーション能力
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ソーシャルワーカー(SW):生活管理、介護力、社会資源活用
まとめ
リハビリにおけるゴール設定は、単なる目標の共有ではなく、治療の方向性・効果判定・経過観察・生活支援すべてに直結する重要な作業です。
エビデンスと経験則をバランスよく組み合わせ、現実的かつ精度の高いゴールを設定することが、セラピストとしての力量を示すことにつながります。
常にPDCAサイクルを意識し、患者と共に目標を達成していく姿勢が求められます。
最終更新:2025-08-28