リハビリで用いるマッサージ手技の分類

リハビリでも用いられることが多いマッサージについて解説していきます。

マッサージの概要

世の中には多くのマッサージ方法が提唱されていますが、それらは大きく分けると以下の4つのに分類できます。

  • 軽擦法(さする)
  • 強擦法(強くさする)
  • 圧迫法(揉む)
  • 叩打法(たたく)

以下に、各方法がどの組織にアプローチしているかについて解説していきます。

アプローチしている組織

マッサージでアプローチする疼痛誘発組織の層を大きく分類するなら、①皮下組織(浅筋膜)、②深筋膜、③筋肉に分けられます。

各組織で用いる方法は異なり、皮下組織には軽擦法、深筋膜には強擦法、筋肉には圧迫法を使用します。

主な鎮痛効果として、発痛物質の除去、痛みの伝導路の遮断、鎮痛系の賦活といった効果が期待できます。

また、滑走不全が存在する場所をリリースすることで、その付着する部分(牽引される部分)の機械刺激を除去することも可能です。

①軽擦法

軽擦法は浅部マッサージとも呼ばれ、指や手の平を用いて、皮膚(皮下組織の浅筋膜まで)に触圧覚刺激を加える手技になります。

心臓の方向に皮膚を擦っていくことで、静脈やリンパ液の血流促進、触圧覚刺激による除痛効果が認められます。

軽擦法は対象部位にパウダーやオイルを塗って、皮膚への負担を軽くしてから実施されることも多いです。

浅筋膜上は神経や血管が豊富に存在していますので、滑走不全が存在する場所に対しては、集中的にリリースしていくことが求められます。

②強擦法

軽擦法が皮膚や浅筋膜にアプローチするのに対して、強擦法では主に深筋膜を対象にしています。

深筋膜は全身をボディースーツのように覆っており、筋肉の表層はもちろんですが、それ以外の場所にも存在しています。

筋肉を揉むというよりは筋肉の表面で指を滑らせるような感覚で擦っていき、できる限りに深筋膜のみを狙ってアプローチしていきます。

深筋膜上も神経や血管が豊富に存在していますので、滑走不全が存在する場所に対しては、集中的にリリースしていくことが求められます。

③圧迫法

圧迫法は主に筋肉に対するアプローチであり、肘や母指などを用いて筋肉を持続圧迫し、攣縮(過緊張)を取り除いていく方法になります。

可能なら二指圧迫法が効果的であり、母指と二指(示指と中指)の先端部分とで攣縮のある筋肉を挟み込んでいきます。

筋肉は筋束が集まったものであるため、より細かくみていくためには、指先で筋束に触れながら問題のある場所を見つけてリリースします。

筋肉によっては挟み込む(つまむ)ことが困難なので、胸鎖乳突筋や大胸筋、僧帽筋上部、股関節内転筋群で使用される場合が多いです。

④叩打法

叩打法は強擦法や圧迫法を施行したあとに残る圧迫感や違和感をリセットするために用いられる方法です。

肩叩きの要領で両こぶしを用いて交互にトントンとリズムよく刺激を与える、または手でタップしていきます。

叩打法そのものに大きな効果があるわけではないので、必要に応じて治療の最後に活用してください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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