MRIとは?(まず全体像)
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**MRI(磁気共鳴画像)は、強い磁場と電波で体内の水素(H)**の振る舞いを読み取り、画像化する検査。
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被ばくなし(X線・CTと違い放射線を使わない)。
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軟部組織に強い(筋・腱・靱帯・軟骨・髄内・神経・関節液など)。骨皮質は信号が出にくい。
画像コントラストの考え方
MRIの明るさ(信号)は、大きくプロトン密度(どれだけ水素があるか)とT1/T2の性質で決まります。
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T1強調画像(T1WI)
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脂肪:高信号(明るい) 水:低〜中等度
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解剖の把握や脂肪量の評価に向く。
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T2強調画像(T2WI)
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水:高信号(明るい)(浮腫・炎症・関節液・嚢胞など)
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脂肪も比較的明るく写ることが多い → 水を見分けづらいことがある。
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脂肪抑制(Fat-Sat)/STIR
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脂肪の信号を落として**“水だけ”を浮かび上がらせる**。
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**T2脂肪抑制(T2FS)**は“どこが水で腫れているか”を探す決め手。
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「T1とT2の決定的な違い=水の強調度」。さらに脂肪抑制の有無で読みやすさが段違いになります。
組織ごとの“ふつうの見え方”
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腱・靱帯・骨皮質:低信号(黒っぽい)…水素が少ないため。
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骨髄脂肪・皮下脂肪:T1高信号、T2もやや高信号(FSで暗くなる)。
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筋:中等度。
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液体(関節液・浮腫・炎症):T2高信号(FSでさらに目立つ)。
本来**低信号の腱や靱帯に“明るさ”**が出ていれば、水が増えた=炎症・浮腫・部分断裂などを疑う。
読影の実用ポイント
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まずT2脂肪抑制/STIRで“水の地図”を作る。
どこに浮腫・関節液・炎症があるかを一望。 -
T1で解剖・脂肪・出血の時期を確認。
脂肪変性や骨髄脂肪の評価、血腫の性状も補助的に。 -
“本来黒いところに白さ”=異常サイン。
腱・靱帯・骨皮質の高信号は要注意(ただしマジックアングル効果等のアーチファクトにも注意)。 -
必ず臨床症状・触診と突き合わせる。
画像の高信号=**水(炎症/浮腫/液)**であって、断裂と同義ではない。
例:肩のT2FSで棘上筋腱が高信号
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まず腱内の高信号=腱内変性/腱炎/部分断裂を考える。
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腱連続性の破綻や滑液包側・関節側への抜け、腱板下滑液包の液体増加などを併せて断裂の有無・範囲を判断。
MRIの注意点(適応・安全)
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金属・デバイス:一部のペースメーカー/クリップ等は条件付きで撮像可だが、事前確認が絶対。
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閉所恐怖・体動:画質低下の要因。対策(開放型装置、鎮静、固定)が必要なことも。
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アーチファクト:金属、流れ、マジックアングルなどで偽異常に見える場合がある。
よくある質問(Q&A)
Q1. T2だけ見れば十分ですか?
A. いいえ。 “水探し”はT2FSが便利ですが、T1で解剖・脂肪・出血を補完するのが基本です。
Q2. T2で明るい=断裂ですか?
A. 直ちに断裂とは限りません。 高信号は**水(炎症・浮腫)**の指標。連続性の破綻や形態変化と合わせて判断します。
Q3. 腱や靱帯が黒いのに痛いのはなぜ?
A. 低信号でも正常とは限りません。 軽微な変性や撮像条件、**角度依存性(マジックアングル)**で所見が目立たないことも。臨床所見とセットで。
Q4. 脂肪と水の見分けが難しいときは?
A. 脂肪抑制(Fat-Sat)やSTIRを見る。 脂肪が落ちて**“水だけが光る”**ので判別が容易です。
最終更新:2025-10-08

