ぎっくり腰のリハビリ治療

ぎっくり腰の概要

  • ぎっくり腰=急に走る強い腰痛。一般に**安静よりも早期の“普段通りの活動”**が回復を速める。

  • 専門家による脊椎マニピュレーションが役立つことがある。

  • 仙腸関節(SI関節)がわずかにズレて痛みを誘発するという**仙骨後屈ロック/カウンターニューテーション**が原因のひとつ。

  • 他にも、椎間板・椎間関節・筋筋膜など多因子で起こる。

ぎっくり腰を仙腸関節モデル

  • 仙腸関節:仙骨と寛骨の耳状面がかみ合う安定性重視の関節。可動域は前屈(ニューテーション)約1.3°、後屈(カウンターニューテーション)約1.7°、移動距離は1–2 mmほどとごく小さい。

  • 仙骨後屈ロック:くしゃみ・前屈姿勢からの動作などで**骨盤後傾(カウンターニューテーション)**が強まり、**関節包や靱帯・周囲筋(とくに多裂筋)**に急なストレス → 痛み・伸ばせない感じ。


何が効く?(エビデンスのある選択)

介入 推奨度/エビデンス 期待できる効果の大きさ
通常活動の継続 強い 小~中等度(安静より明らかに良い)
表在低温熱ラップ(貼るカイロ等を長時間) 強い 中等度の鎮痛・機能改善
脊椎マニピュレーション(有資格者による) やや強い 弱~中等度
安静臥床の指示 強い むしろ悪化/効果なし
運動療法(急性直後の本格的トレ) 強い 効果なし(急性期は“維持的”に)
サポーター/鍼/牽引/TENS/温冷交代など 弱い 実証不足(使うなら短期で様子見)

ポイント

  • 安静は最小限。可能な範囲で立つ・歩く・日常動作に戻す。

  • 低温度の持続的温熱(8時間以上/皮膚低温やけどに注意)が痛みを和らげやすい。

  • マニピュレーションは国家資格者・熟練者で。自己流の強い矯正はNG。


セルフケアの具体策(24–72時間プラン)

Day 0–1:炎症のピークをやり過ごす

  • 姿勢は横向き fetal位仰向け膝立てで休む(長時間は避ける)。

  • 貼るカイロを腰~仙腸関節周囲に(直貼り不可/低温やけど注意)。

  • 5–10分おきに立ってこまめに歩く

  • 物を拾うときはヒップヒンジ(股関節で曲げ、背中は中立)。

Day 1–3:通常活動へ段階的復帰

  • 家事・デスクワークは分割して再開(30–45分ごとに立つ)。

  • 痛みが許す範囲の歩行毎日合計20–30分

  • やってよい軽い動き

    • 骨盤の小さな前傾–中間の揺すり(イス座位で)。

    • 腹式呼吸+軽い腹圧づくり(息を止めない)。

    • 殿筋軽い収縮(仰向け膝立てでお尻をそっと締める)。

  • 避けたい動き:深い前屈・捻りながら持ち上げる・反復しゃがみ込み・急なストレッチ。

痛みが日増しに改善していればOK。悪化が続く/下肢症状が強いときは受診。


セラピスト向けヒント(SI関節モデル活用)

  • マニピュレーション:椎間関節・仙腸関節を一瞬離開 → 多裂筋の伸張・弛緩を誘導。

  • 筋・軟部組織

    • 腸骨筋・大腿筋膜張筋軽くリリース

    • 後仙腸靱帯~多裂筋周囲は症状に応じ過刺激回避で。

  • 運動は急性期は維持的。亜急性以降に体幹持久力(ロールアップ系を避け、中立位保持)と股関節戦略(ヒップヒンジ)へ。


再発予防(痛みが落ち着いたら)

  • 荷物は体に近く、持ち上げは股関節(大殿筋)主導

  • 長時間同一姿勢を避け、45–60分毎に1–2分立つ

  • 150分目安の有酸素運動(速歩など)+**体幹“持久力”**トレ(プランク系を短時間で)を習慣化。

  • 睡眠:横向きで膝間クッション/仰向けで膝下クッションなど腰が中立になる工夫


受診の目安(レッドフラッグ)

  • 発熱・悪寒、夜間痛が強い/がん既往・ステロイド内服

  • 転倒・事故など大きな外傷直後

  • 膀胱直腸障害(尿が出にくい・失禁)、会陰部のしびれ

  • 進行性の筋力低下、安静でも治まらない強い坐骨神経痛


よくある質問(Q&A)

Q1. とにかく安静が一番?
A. **いいえ。**寝たきりは回復を遅らせます。我慢できる範囲で普段の活動に戻すのがコツ。

Q2. 温める? 冷やす?
A. 多くの人に持続的な低温度の温熱が有効。熱感・拍動痛が強い直後は短時間の冷却も可。心地よい方を選びましょう。

Q3. コルセットは使うべき?
A. 短期使用で“痛みを減らして動けるならOK”。ただし長期常用は筋の働きを鈍らせるので、痛みが引いたら卒業

Q4. 鍼や牽引は効きますか?
A. 個人差が大きく、はっきりした効果は一貫せず。試すなら短期間で効果判定を。

Q5. いつ仕事・スポーツに戻れる?
A. 痛み0%まで待つ必要はありません日常動作→職務軽作業→本格復帰と段階的に。悪化サインがなければ前進してOK。

Q6. これは本当にSI関節が原因?
A. 床のものを取ろうとした際などに、拾い上げる動きでギクッと発生した場合は可能性が高いです。


最終更新:2025-09-10