恥骨筋の概要
恥骨筋は股関節前内側(大腿三角の後壁)にある扁平筋で、大腰筋と長内転筋の間を走行します。
主作用は股関節内転。起始が恥骨櫛という前方起始のため、軽度屈曲・内旋にも寄与します(特に股関節軽度屈曲位)。臨床的には「恥ずかしくて股を閉じる=内転+わずかに内旋」のイメージでOK。
基本データ
| 項目 | 内容 |
| 支配神経 | ①大腿神経(L2-3) ②閉鎖神経の前枝(L2-4)*二重支配のことあり |
| 起始 | 恥骨櫛・恥骨上枝 |
| 停止 | 恥骨筋線(粗線近位部) |
| 動作 | 股関節内転 股関節屈曲(0–40°付近で補助)、内旋(軽度) |
| 筋体積 | 65㎤ |
| 筋線維長 | 7.2㎝ |
| 速筋:遅筋(%) | 50.0:50.0 |
触診方法
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ランドマーク:鼡径靱帯・縫工筋・長内転筋で囲まれる大腿三角(スカルパ三角)の後方。
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手順:股関節を軽度屈曲位で、屈曲+内転+内旋に軽い抵抗を加えると筋腹が立ち上がる。
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注意:直上を大腿神経・大腿動静脈(+陰部大腿神経枝)が走行。強圧・深追いは厳禁。拍動部の直押しは避ける。
ストレッチ方法

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体位:立位 or ベッド端。ストレッチ側の股関節を伸展・外転、膝は屈曲。
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実施:体重を反対脚へ移す→恥骨筋の伸張感で20–30秒×2–3回。
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ポイント:外旋を少し足すと恥骨筋に狙いが定まりやすい。反動は付けない。
筋力トレーニング

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ボールスクイーズ:仰臥位で膝立て、膝間にボール/枕を挟み5秒保持×10回×2–3セット。
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進行に応じて座位→立位へ。痛みが出る負荷・角度は回避。
トリガーポイントと関連痛領域

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好発:筋腹~筋腱移行部。
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関連痛:鼠径部~股関節前面の限局痛。
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誘因:サッカー等のインサイドキック反復、内転偏重のフォーム、歩隔が狭い歩行。
臨床のヒント/鑑別
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歩行:内転筋群短縮で歩隔が狭く、強いと下肢内旋+クロス歩行。
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鑑別:腸腰筋炎/鼡径部痛症候群(グロインペイン)、FAI・臼蓋唇、長・短・大内転筋起因。
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評価トリック:抵抗内転+軽い屈曲で疼痛や出力変化をみると恥骨筋の寄与が把握しやすい。
よくある質問(FAQ)
Q. どの方向に伸ばすと恥骨筋に効きますか?
A. 伸展+外転+外旋の組み合わせ。軽い屈曲は恥骨筋が収縮しやすく狙いが外れます。
Q. ボールスクイーズで膝が痛い。
A. クッションを厚くする/膝角度を少し広げる/出力は70%目安に下げる。痛みが残る日は中止。
Q. 大腿直筋や腸腰筋との違いは?
A. 恥骨筋は内転+わずかな屈曲・内旋が特徴。抵抗内転で筋腹が前内側に立つのが鑑別の手掛かり。
最終更新:2025-10-14


