膝裏の痛みの原因と治療法について解説

① 筋膜性疼痛

所見の特徴

  • 大腿二頭筋(外側ハム)を中心とした圧痛、筋膜の滑走低下。

  • 長時間の立位・前屈作業・走行で増悪しやすい。

介入

  • 圧痛点に持続徒手圧+多方向シア(前後・左右・斜め)をゆっくり。

  • 3–4分で「滑りの回復/圧痛半減」を確認→圧解除。遅発性の筋痛(~48h)を事前説明。

  • 再発予防にハム全長ストレッチ+股関節伸展可動域の確保(腸腰筋・大殿筋バランス)。


② 膝後方インピンジメント(関節包/外側半月板)

膝窩筋の触診方法

ポイント

  • 深屈曲で後方関節包や外側半月板が挟まる。膝窩筋の関連が多い

  • 解剖学的バラエティ:膝窩筋が後方関節包に付着57%/外側半月板に付着55%、うち密結合は17.5%。全例での直接因子とは限らない。

  • 大腿二頭筋短頭(関節包)、**半膜様筋(外側半月板前方支持)**も関与しうる。

評価&運動

  • 深屈曲でのクリック・引っかかり+局所圧痛

  • 膝窩筋促通は膝屈曲112°以上での下腿内旋が有効(腱が溝に嵌まり緊張が上がる)。

  • 併存のハム機能不全があればSBL介入を優先。


③ 膝窩筋の過緊張(knee-in toe-out 型アライメント)

病態の芯

  • 膝窩筋は主に**下腿内旋+脛骨‐大腿骨の近接(軸圧)**で外旋不安定性を制動。

  • knee-in toe-out姿勢で常時働かされ、安静時も筋内圧が高止まり→自発痛

介入

  • 下腿外旋制動テーピング(脛骨近位前面→外後方に牽引して外旋を抑える)。

  • 立脚時は膝・足部のライン再教育(膝蓋骨と第2趾を正面に、距骨下関節のニュートラル獲得)。

  • 筋は軽負荷の持続収縮→エキセントリックで脱力学習。


④ 膝窩嚢胞(ベーカー嚢胞)

所見

  • 膝窩に弾性のある腫隆。深屈曲でつっかえ感/可動域制限。痛みは軽微〜なしが多い。

  • 変形性膝関節症などで関節液が増え後方へ逸脱

対応

  • 原因関節の炎症コントロール(荷重調整・関節保護)。

  • 神経・血管圧迫や破裂リスク、巨大化では穿刺吸引/手術を検討。


すばやい鑑別のコツ

  • 触って滑らせると膜が引っかかる+圧痛 → SBL筋膜性

  • 深屈曲でのクリック/挟み感 → 後方インピンジメント(膝窩筋・半膜様筋も評価)

  • 静止でも重だるい膝窩痛+knee-in toe-out → 膝窩筋過緊張

  • 膝窩のふくらみ+違和感>痛み → ベーカー嚢胞


リハの流れ(実践テンプレ)

  1. 炎症/負荷管理:深屈曲反復の回避、階段・しゃがみの調整。

  2. 軟部組織:SBLリリース → 膝窩筋・半膜様筋の滑走回復。

  3. 運動再教育

    • 膝窩筋:膝112°以上で内旋等尺→内旋エキセントリック

    • ライン:骨盤‐股‐膝‐足の正中化(股外旋過多・過回外/回内を是正)。

  4. 機能統合:ヒップ主導のスクワット、ヒンジ、段階的深屈曲復帰。

  5. フォロー:再発リスク(深屈曲習慣・アライメント)教育。


よくある質問(Q&A)

Q1. どれくらいで良くなりますか?
A. 筋膜性は数回の介入で体感改善しやすい一方、インピンジメントは動作修正の定着に数週〜数か月を要することがあります。

Q2. どの運動を避ける?
A. 初期は深屈曲(正座・しゃがみ込み)反復を制限。痛みが0〜軽度でコントロールできる範囲で段階復帰。

Q3. 画像検査は必要?
A. 典型所見なら保存で開始可。巨大嚢胞・神経血管症状・ロッキングがあれば画像(US/MRI)で精査します。

Q4. テーピングはどのくらい続ける?
A. 動作学習の補助として数週。膝‐足のラインが自立して保てたら漸減します。


最終更新:2025-10-06