頸半棘筋(semispinalis cervicis muscle)

頸半棘筋の概要

頸半棘筋の起始停止

  • 横突起→上位の棘突起へ斜走する**横突棘筋群(半棘筋)**の頸部ユニット。

  • 位置は頭半棘筋の内深層/胸半棘筋の上外側

  • 主作用は頸椎の伸展(両側)反対側回旋(片側)。同側側屈は小さく、分節安定化への寄与が大きい。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経の後枝
髄節 C2–T6 相当(走行レベルに対応する多節支配)
起始 T1–T6 胸椎の横突起
停止 C2–C5(~C6) 頸椎の棘突起
動作 頸椎・上位胸椎の伸展反対側回旋(同側側屈は小)/脊柱の分節安定
筋体積 18.2㎤
筋線維長 4.9㎝
速筋:遅筋(%) 55.0:45.0

頸部の断面図(位置関係)

頚部中央の断面図

  • 表層から板状筋群→頭半棘筋→頸半棘筋→多裂筋の順。

  • 触診・施術では板状筋群の分層が鍵。さらに深層で細長い斜走束として頸半棘筋を想定します。

触診のヒント

  1. 体位:伏臥位または座位で軽度前屈—中間位。

  2. ランドマークC2–C5 棘突起の外側深部に指腹。

  3. 収縮テスト:ごく軽い頸の反対側回旋+伸展で深部の張りが立つ(表層の板状筋との層差に注意)。

ストレッチ

  • 伸ばしたい側がなら:
    頸屈曲 → 右回旋(筋の反対側回旋作用に対抗) → 左側屈を軽く追加
    痛みゼロ域で20–30秒×2–3回。上位胸椎も屈曲を意識すると選択性が上がります。

筋力トレーニング(安全第一)

  • うつ伏せミニエクステンション:頸—上位胸椎をわずかに伸展(腰の反り代償はNG)。

  • 等尺性反対側回旋:顎下にタオルを当て、微弱な反対側回旋抵抗を5秒×8–10回。

  • 目的は過負荷強化ではなく協調・安定性の再学習

クリニカルメモ

  • 前方頭位・猫背では、頸半棘筋が持続的に張る割に出力は落ちやすい

  • 介入は胸椎モビリティ(屈曲・回旋)+板状筋との協調を整えてから深層へ。

  • 頭半棘筋のトリガーと併発しやすく、関連痛の鑑別は層ごとの圧痛と再現運動で。

よくある質問(Q&A)

Q1:頸半棘筋と頸最長筋の違いは?
A:**頸最長筋=横突起—横突起(起立筋列)**で姿勢維持・同側側屈が得意。頸半棘筋=横突起—棘突起(横突棘筋列)で反対側回旋・分節安定が強み。

Q2:どの動作で痛みが出やすい?
A:持続的前屈+素早い伸展、または一方向への回旋反復。画面の位置調整と小休止の回旋リセットが有効です。

Q3:ストレッチのコツは?
A:屈曲+伸張側へ回旋+反対側側屈を小さく丁寧に。しびれ・めまいがあれば中止。

Q4:鍛えるより安定?
A:はい。等尺性+小可動域で十分。まず胸椎の可動性板状筋との協調を整えると効果的です。


最終更新:2025-10-07