頸棘筋(spinalis cervicis)

頸棘筋の概要

頸棘筋の起始停止

  • 脊柱起立筋の**最内側列(棘筋群)**の頸部ユニット。

  • 表層は僧帽筋上中部・頭板状筋・頭半棘筋・菱形筋・上後鋸筋に覆われる深層筋。

  • 主作用は頸椎伸展(両側)同側側屈(片側・小)。頭部保持や「うつむき姿勢から首を起こす」動作で協働

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経の後枝
髄節 おもに頸~上位胸髄レベル(C3–T2 付近)
※個体差あり。頸棘筋は上位胸椎由来で上頸椎へ付着するため、広域に分節支配される
起始 C7–T2(T3)棘突起、項靭帯遠位部
停止 C2–C4(C5)棘突起
栄養血管 深頸動脈後肋間動脈(背側枝) ほか
動作 頸椎伸展同側側屈(小)、姿勢維持

触診のヒント

  • ランドマーク:上位頸椎の棘突起列のすぐ外側で、深く縦走する細い帯。

  • 手順:軽い頸伸展をお願いし、C2–C4棘突起の両側すぐ外で深部の緊張を指腹で捉える。

  • 鑑別:より外側で太い縦走は頸最長筋、さらに外側は頸腸肋筋。より内深層で節状に触れるのは多裂筋


セルフケア

ストレッチ

  • 頸屈曲+反対側側屈を軽く(20–30秒×2–3回)。肩は下制し、痛みやしびれが出る角度は避ける。

筋力トレーニング

  • 等尺性伸展:後頭部にタオルを当て、伸展方向へ5秒押し×8–10回

  • ミニエクステンション:うつ伏せまたは座位で胸郭を高くし、上位頸の過伸展を避けて小可動域。


クリニカルメモ

  • 前方頭位・猫背では頸棘筋が過活動化し、後頸部の張りや可動制限の温床に。胸椎可動化肩甲帯下制の再教育を併用すると安定。

  • 頭半棘筋/板状筋との協調不全があると、伸展運動で代償が出やすい。分層リリース→低負荷再学習の順が無難。


よくある質問(Q&A)

Q1:頸棘筋と多裂筋はどう違う?
A:どちらも内側深層ですが、頸棘筋は棘—棘の縦走、多裂筋は横突起—棘突起の斜走で分節制御が得意です。

Q2:片側だけ張りやすいのは?
A:利き目・モニター配置・電話肩当てなどの偏った習慣が原因に。画面正面化/左右交互タスクで負荷を均すと◎。

Q3:安全に伸ばすコツは?
A:小さく・ゆっくり・痛みゼロ域。しびれやめまいが出る姿勢は中止して専門家へ相談を。

Q4:どの運動で鍛えやすい?
A:等尺性伸展・同側側屈が選択的。回数より姿勢(胸郭を高く)と呼吸を優先。

Q5:頭痛の原因になりますか?
A:直接因ではないが、後頸部のトリガーが関連痛を助長することはあります。神経症状を伴う場合は受診を。