変形性足関節症(OA)の概要
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成り立ち:外傷後(骨折・重度捻挫)が最多。荷重軸の乱れ(内反/外反)、反復の微小外傷、加齢・肥満も関与。
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よくある所見:内側裂隙の狭小(内反傾向)、骨棘、こわばり(朝・動き始め)、階段下降・下り坂・長時間歩行で増悪。
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検査の目安:荷重位X線(モーティス像)で裂隙不均等とアライメントを評価。理学所見は背屈と外反の低下が典型。
リハビリの設計図(目的と優先順位)
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痛み・腫れのコントロール(炎症鎮静と免荷)
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関節可動域(特に背屈・外反)回復
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荷重線の最適化(装具・靴・インソール)
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筋力・神経筋制御(腓骨筋群・前脛骨筋・下腿三頭筋、+股関節外転/外旋)
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バランス・歩行の再教育
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自己管理(負荷調整・体重管理・有酸素)
進め方の合言葉:“痛みは0にせず、翌日リセット”
セッション後の痛み・腫れが24時間以内に元へ戻る範囲で負荷調整。
段階別リハ(目安プログラム)
①高刺激性(炎症/増悪期)
目標:鎮痛・腫脹軽減・優しい可動域
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免荷:医師指示に沿って。歩行器/松葉杖で部分荷重。
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冷却or温冷併用:腫れ強い時は短時間冷却。こわばり優位は温罨法。
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ROM:座位で背屈・外反の痛みなし往復各10–15回×2–3/日。
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等尺性:背屈・外反・底屈・内反、5秒×10回(痛み<3/10)。
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足指/足底:ショートフット、グー・パー各10回。
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装具:ラップ式足関節サポーター、ロッカー底の靴で負担軽減。
②中刺激性(回復期)
目標:可動域→筋持久力→荷重再獲得
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背屈改善:
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壁ドン・ニーtoウォール(膝タッチ)10回×2–3(左右比較、10cm目標)。
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タオル/台でカーフストレッチ30秒×3(膝伸展/屈曲位両方)。
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筋力:
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腓骨筋群(外返しチューブ)12–15回×2–3。
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前脛骨筋(チューブ背屈)12–15回×2–3。
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カーフレイズ(両脚→片脚へ)10–15回×2–3。
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バランス:片脚立ち30秒×3→不安定面へ進捗。
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歩行練習:短い歩幅+やや速いピッチ、平地から開始。
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インソール:内反OAは外側ウェッジ、扁平足は内側アーチサポートを試行。
③低刺激性(慢性/維持期)
目標:関節栄養・荷重最適化・機能向上の維持
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関節栄養運動:朝夕に背屈・外反のスムーズな反復各20回。
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筋力(実用域):
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片脚カーフレイズ25回連続を目標。
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サイドステップ/モンスターバンド(股外転・外旋)20m×2。
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段差降り制御(10–15cm)8–10回×2。
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バランス:Yバランス・片脚で物拾いなど動的課題。
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有酸素:エアロバイク/水中/平地ウォーク20–30分×週3–5。
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体重管理:-5%でも症状軽減に寄与。ゆるやかな食事調整+活動量アップ。
装具・靴・テーピングの使い分け
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靴:硬いヒールカウンター/ロッカー底/適度な前足部屈曲/ねじれにくい。
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インソール:
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内反OA(内側狭小)→外側ウェッジで内反モーメント低減。
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扁平足→内側アーチサポート+後足部内側ウェッジで過回内を抑制。
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ブレース:レースアップ/ヒンジ付AFO、Arizonaブレース(重症~後足部含む関節炎)。
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テーピング:Low-Dyeで過回内抑制、内反不安定は外反補助方向。
セラピスト向け:徒手・MWMの要点(要禁忌確認)
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距腿関節:**後方滑り(Talus PA)**で背屈改善、牽引で痛み軽減。
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距骨下関節:外反方向のモビライゼーションで可動性回復。
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遠位脛腓関節:背屈制限に前後滑り。
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MWM:ベルトで後方タラスグライド+立位ランジ(Mulligan)。
※骨折・高度炎症・重度不安定・直後術などは禁忌。
進行・後退の基準
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進めて良い:運動後の痛み/腫れが24h以内にベースへ。
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負荷を戻す:24–48h続く増悪、夜間痛、歩行距離の顕著低下。
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受診:急な腫脹・熱発赤、荷重不能、明らかな変形/ぐらつき、しびれ・冷感。
手術が検討される場面(超要約)
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鏡視下デブリドマン:骨棘/インピンジ主体の初期。
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矯正骨切り(****上位/遠位脛骨など):内反/外反の荷重軸矯正**で関節温存。
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関節固定(融合):疼痛制御は強力、可動性は犠牲。
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人工足関節置換:可動性温存、骨質・アライメント選択あり。
→ いずれも保存療法を尽くし、日常生活に支障が目安。
歩行補助具を使用した免荷歩行
足関節に炎症や疼痛が認められる場合は、必要に応じて歩行補助具を使用します。体重の「5%」を免荷するだけでも効果が認められます。
| 方法 | 免荷 |
| 歩行器(つま先のみ接地) | 80% |
| 松葉杖 | 67% |
| ロフストランド杖 | 33% |
| Q杖(四点杖) | 30% |
| T杖(一本杖) | 25% |
よくある質問(Q&A)
Q1. 背屈が出ないと何が困る?
A. 階段下降や下りで代償が増え、前足部過負荷や膝・腰痛に波及。背屈回復は最優先です。
Q2. 痛みが強い日は運動を休むべき?
A. 可動域の小振り反復・等尺は続けてOK。痛み>5/10の筋トレや長時間歩行は一旦控える。
Q3. どのくらいで効果が出る?
A. 個人差はありますが、2–4週で可動域と歩行耐性の向上を感じることが多いです。
Q4. インソールは市販でいい?
A. 軽症は市販でも有効。内反/外反が強い・後足部のねじれが大きい場合は専門作製がベター。
Q5. 体重はどの程度影響?
A. -5%でも疼痛軽減の報告多数。食事+低衝撃有酸素を併用しましょう。
最終更新:2025-09-29