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脛骨高原骨折のリハビリ治療


脛骨高原骨折のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

脛骨高原骨折の概要

脛骨高原骨折は脛骨プラトー骨折とも呼ばれており、荷重を支えるための平原(プラトー)といった意味合いから名付けられました。

そのため、骨折や陥没によって平原が不安定になると体重を支えることができずに、歩行障害や可動域制限をきたすことになります。

若年者では交通事故や高所からの転落などの大きな外力で骨折し、高齢者では転倒などの小さな外力で折れて陥没する場合があります。

脛骨高原骨折

脛骨近位関節面の脆弱部位

膝関節を形成する脛骨上部は、中央部が盛り上がった凸の形状となっています。外側部は平面で、内側部は凹をなしてます。

脛骨近位関節面は脛骨長軸に対して3-4度内反し、矢状面で9-13度後方へ傾斜しています。そのため、FTAは約176度ほどで軽度外反位にあります。

骨密度は外側の方が低く、とくに前2/3が脆弱部位となっています。そのため、膝関節に外反強制が加わると外側関節面に骨折や陥没が生じます。

脛骨高原骨折と関節可動域制限

脛骨高原骨折は、垂直方向の外力及び外転(または内転)方向の外力の合併によって生じます。手術の適応は、3㎜から10㎜の関節面陥没となります。

脛骨高原骨折は関節内骨折であり、術後固定期間による軟部組織の癒着や関節面不整などによる関節可動域制限を生じることが多い骨折です

制限は受傷機転による内側支持機構の損傷が考えられるため、修復過程を考慮しながら荷重時期に合わせて最終伸展域を獲得することが重要です。

また疼痛については、膝窩部痛や内側支持機構の疼痛が比較的高率でみられるため、リハビリ実施時に評価しながらアプローチしていきます。

Hohlの分類

脛骨高原骨折の分類には、主にHohlの分類が用いられます。やや紛らわしいので表にまとめると、以下のようになります。

骨折 転位 陥没
非転移型 × ×
中央陥没型 × ×
分裂陥没型
全面的陥没型 ×
分裂型 ×
脛骨上端部粉砕型
非転移型 中央陥没型
脛骨高原骨折Hohlの分類|非転移型 脛骨高原骨折Hohlの分類|中央陥没型
分裂陥没型 全面的陥没型
脛骨高原骨折Hohlの分類|分裂陥没型 脛骨高原骨折Hohlの分類|全面的陥没型

手術療法の適応基準

手術の絶対的適応は楔状骨折に転位があるか、関節面の陥没が5㎜以上のものが対象となります。

関節面の陥没が2-5㎜の範囲のもので、若年から壮年者までの方は手術の相対的適応となり、状態に応じて決定します。

これらに該当せずに保存療法で治癒が可能であると予測される場合は、ギプス固定にて対応となります。

1.関節切開法(book-open法)

関節内骨片を軟骨下骨下の海綿骨と一塊にして挙上整復し、骨欠損部に自家骨または人工骨を充填し、スクリューやプレートで固定する方法です。

脛骨高原骨折|関節切開法|book-open法① 脛骨高原骨折|関節切開法|book-open法②

2.鏡視下法(開窓法)

外顆下方の骨皮質を開窓し、鏡視とX線透視を併用しながら陥没欠損部に自家骨または人工骨を充填してスクリューにて固定する方法です。

脛骨高原骨折|鏡視下法|開窓術① 脛骨高原骨折|鏡視下法|開窓術②

治療成績判定基準

術後の治療成績は、以下の判定基準を用いて判断していきます。

5度以内の正常外反度
転位が5㎜以下に整復
関節症変化なし
5度を超える外反変形
最小限の関節症変化
10度を超える外反変形
中等度の関節症変化
骨折が整復されていない
不可 中等度または重度の関節症変化
骨折が整復されていない
10度を超える外反変形

術後リハビリテーションの流れ

1.術後(術後から約6週間)

方法 内容
装具療法 外固定はなし
運動療法 患部外トレーニング、神経筋協調運動
ROM運動 膝関節屈曲90度(術後2週)、膝蓋骨モビライゼーション
歩行訓練 両松葉杖歩行(荷重免荷)

2.術後(術後6-12週間)

方法 内容
運動療法 膝周囲筋の強化(筋等張性運動)
ROM運動 膝関節屈曲90度、伸展0度
歩行訓練 1/6荷重(6週),1/2(8週),全荷重(10週)

3.術後(術後12週以降)

方法 内容
運動療法 階段昇降、エアロバイク
ROM運動 全可動域の獲得
歩行訓練 ランニング許可(12-16週以降)

関節可動域運動と制限の予後

関節可動域は術後6週より徐々に拡大していき、12週を目途に全可動域を獲得できるようにアプローチしていきます。

その間の拘縮発生を最小限に抑えるために、術後より患部外トレーニングや炎症コントロールを十分に行っていくことが大切です。

膝蓋骨に関しては動かしても問題はないため、拘縮が起こらないように自己モビライゼーションにてこまめに動かしておくことが推奨されます。

骨折後の関節可動域の予後は、一般的に受傷時の損傷程度によって左右されます。骨折の転位や粉砕、陥没の大きい例ほど制限は大きくなります。

脛骨高原骨折16例の骨折型をAO分類法により分類し、ROMの推移を比較検討した調査では、TYpeBがTypeCより有意にROMは改善します。

また、制限群は初期より顕著なROM制限が認められます。下記にその推移を図にしたものを掲載します。

脛骨高原骨折の予後
脛骨高原骨折の予後②

引用画像(1)

患部外トレーニング

骨折部の癒合には接合や固定が不可欠ですが、これらは癒合に必要な血流を阻害してしまう方向に働いてしまいます。

その対策として、患部の動きに影響を与えない周囲の筋肉をトレーニングすることにより、患部への血行を促進するように働きかけていきます。

脛骨高原骨折は手術によって強く固定されていますので、骨離開に関してはあまり心配ないため、周囲筋の積極的なトレーニングが推奨されます。

具体的には、足趾・足関節の底背屈運動、膝蓋骨セッティングなどを中心に実施していきます。

以下に脛骨上部に起始停止を持つ筋肉を列挙します。離開のリスクは少ないですが、骨折部位や損傷の程度は確認しておく必要があります。

脛骨に起始がある筋肉

筋肉 起始部
前脛骨筋 脛骨の外側面,下腿骨間膜,下腿筋膜,筋間中隔
長趾伸筋 外側顆,腓骨前面の上部3/4,下腿骨間膜上部,下腿筋膜,筋間中隔

脛骨に停止がある筋肉

筋肉 停止部
大腿筋膜張筋 外側顆下方
半膜様筋 内側顆,顆間線および外側上顆,斜膝窩靱帯

神経筋協調運動

荷重の免荷期間が長い骨折では、足底からの感覚入力が乏しくなるため、荷重期になって歩行状態の不安定性などを招く原因になります。

そのため、術後早期より感覚入力トレーニングやタオルギャザーといった神経筋協調運動の実施が推奨されています。

歩行のように骨折部に離開が生じるような負荷はないため、医師の指示のもと、努力性の少ない範囲で行っていきます。

歩行補助具を使用した免荷歩行

骨折部の仮骨が形成されてきてからは、骨化を促進するために骨折部位への適度な圧迫刺激が必要となります。

骨折の程度にもよりますが、通常は術後6週より1/6荷重から開始されます。その際に、まずは平行棒などで体重計を用い、荷重感覚を養います。

以下に、代表的な歩行補助具と免荷の割合について記載します。なお、歩行器はつま先のみを接地した場合になります。

方法 免荷(荷重)
歩行器 80%(1/5)
松葉杖 67%(1/3)
ロフストランド杖 33%(2/3)
Q杖(四点杖) 30%(2/3)
T杖(一本杖) 25%(3/4)

パターンとしては、①両松葉杖(完全免荷)➡②歩行器or片松葉杖➡③T杖という順序で進めていくことが多いです。

杖を使用する場合は、まずは3動作歩行を習得してから2動作歩行に移行するようにして、徐々に負荷を上げていくようにします。

引用画像/参考文献

  1. 理学療法学 24(Supplement No.2), 70, 1997-04-20
  2. 理学療法学 32(supplement_2), 182, 2005-04-20

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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