要点(先に結論)
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多くの女性で起きやすい膝トラブルの主因の一つが“ねじれ(股内旋+下腿外旋)”。
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ねじれがあると**膝蓋骨(お皿)は外側へ偏位/傾斜(PFマルトラッキング)**しやすく、軋轢音・前内側痛の温床に。
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まずは股関節を外旋位に誘導して屈伸すると、その場で音や痛みが軽くなることが多い(試験的ポジショニング)。
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根本対応は、股関節外旋モビリティと筋力の回復+足部回内(扁平足)対策+後方組織の癒着解除。
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“下腿外旋を強めるだけの伸展誘導(SHMの濫用)”は悪化要因になり得るので注意。
なぜ「ねじれ」が起こる?
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股関節の内外旋バランス崩れ:外旋可動域↓/外旋筋群(梨状筋・深外旋六筋・中殿筋後部)↓
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足部の過回内(扁平足)→下腿は外旋方向へ連鎖、膝蓋骨は外上方へ引かれやすい
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骨盤前傾優位やハム内側群と腓腹筋内側頭の癒着→膝後方組織の滑走低下
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結果:大腿骨は内旋、下腿骨は外旋、膝蓋骨は外側偏位→屈伸で外側関節面が擦れ、膝蓋下脂肪体は内側へ追いやられて炎症/硬化しやすい
その場でできる“ねじれ”チェック
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椅子座りで膝を少し曲げ、股関節を軽く外旋(つま先をやや外へ)。
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その姿勢でゆっくり屈伸。
→ 普段より音が減る/痛みが軽いなら、PFマルトラッキング+股外旋不足の関与が濃厚。
介入の流れ(臨床/セルフ)
①ポジショニング(即時効果)
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股外旋位+膝蓋骨が正面を向くように誘導して屈伸練習。
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スクワット指導では膝はつま先の向きに合わせる(ニーイントーアウトを避ける)。
②可動域と軟部組織ケア
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股関節外旋モビリティ:
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90/90ヒップERストレッチ/座位での“膝外側へ倒し+骨盤ニュートラル”
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後方癒着の滑走化:
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内側ハム×腓腹筋内側頭の境界を穏やかにリリース(圧迫+伸張を2–3分保持)
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膝蓋骨モビライゼーション:外側支帯が硬い場合は内方・尾側誘導を多めに、膝蓋上包も動かす。
③筋力・協調
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中殿筋後部・深外旋筋の促通:
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サイドライイング・ヒップER(チューブ)/クラムシェル(骨盤固定)
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内側広筋(VMO)反応速度↑:
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リズミカルなパテラセッティング→軽い膝伸展反復
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足部アーチ支持:
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後脛骨筋のタオルギャザー/ショートフット。必要に応じて内側アーチ支持のインソール。
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④生活動作の修正
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階段・立ち上がり・スクワットで股外旋・膝正面・足圧は母趾球〜小趾球へ均等を意識。
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長時間歩行や坂道で悪化する時期はボリュームを調整。
やりがちなNG
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“膝が伸びない=SHMで下腿外旋を足す”だけの指導
→ ねじれ優位の膝では外旋偏位を助長し、PF摩擦や脂肪体ストレスを増やすことがある。 -
つま先正面のまま股内旋で屈伸(ニーイン)
→ 音・痛みが強まりやすい。
例外:外傷後や男性でパターンが異なることはあります。評価に基づき個別化してください。
よくある質問(Q&A)
Q1:音がするだけで痛くないなら放置でOK?
A:無痛の軋轢音自体は珍しくありませんが、ねじれが強いと脂肪体やPF関節の炎症へ移行しやすい。ポジショニングと軽いケアは早めに。
Q2:テーピングやサポーターは有効?
A:膝蓋骨内方誘導テープやアーチ支持は短期的に有効。併行して股外旋・VMOの再学習を。
Q3:筋トレは何から?
A:中殿筋後部/深外旋筋→VMOの順。フォーム優先で回数少なめ×高頻度がコツ。
Q4:扁平足も関係ある?
A:足部過回内→下腿外旋の連鎖で膝がねじれやすくなります。足部介入は膝の負担軽減に直結。
最終更新:2025-10-08

