母趾のつけ根(第1中足趾節=MTP関節)の痛みは主に4タイプ。どこが痛むかでだいたい見当がつきます。
| 痛む場所 | 疑われる疾患 | 典型サイン・誘発動作 |
|---|---|---|
| 内側(出っ張り) | 外反母趾 | 靴に当たって痛い/幅狭・先細り靴で悪化 |
| 背側(甲側) | 強剛母趾(変形性) | 母趾を反らす(背屈)と痛い・可動域が固い |
| 足底(母趾の裏) | 種子骨周囲炎(種子骨炎) | つま先立ち・踏み切りでズキッ/点状に圧痛 |
| 関節全体が腫れて激痛 | 痛風発作 | 発赤・熱感・夜間の激痛、触るだけで痛い |
原因① 外反母趾(母趾内側の痛み)
ポイント
先細りの靴、扁平足、靭帯ゆるみ、女性に多い。母趾が外側へ、第一中足骨が内側へ広がり、内側の出っ張りが靴で圧されて痛みます。
まずやること(保存療法)
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靴:つま先が広い(ワイドトゥ)、甲でしっかり固定、ヒールは低め。
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インソール:内側縦アーチ(母趾球の内側)サポートで前足部のねじれを減らす。
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トゥセパレーター:母趾と2趾の間に薄いスペーサー(長時間なら柔らか素材)。
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筋トレ(※よくある誤解を修正:鍛えるのは“内転筋”ではなく“外転筋”)
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母趾外転筋:親指をまっすぐ内側から少し離す(開く)×10回×2–3/日
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ショートフット:土踏まずを軽く引き上げる感覚×10回
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後脛骨筋系:チューブで内側アーチを保ったまま足首内返し 12–15回
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ストレッチ:母趾内転筋(横アーチ側)、ふくらはぎ(腓腹・ヒラメ)
受診の目安
夜間痛・しびれ、皮膚炎、変形進行、保存療法で日常生活が辛い→足の外科へ。重度は骨切りなど手術検討。
原因② 強剛母趾(母趾背側の痛み)
ポイント
母趾の変形性関節症。背側の骨棘+背屈制限が典型。中高年男性に多め。
まずやること
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靴底を硬めに/ロッカーソールで母趾の背屈を抑える。
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インソール:**モートン延長(母趾下に硬質プレート)**で踏み切り時の反り返りを減らす。
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可動域:痛みのない範囲で軽い牽引+底屈方向のモビリティ、背屈は無理に攻めない。
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炎症管理:腫れが強い時は一時的に杖や歩行器で荷重を落とす。冷却/温冷交代。
避けたいこと
柔らかすぎる靴底(母趾が沈んで過背屈)、深いしゃがみ込みでの母趾背屈反復。
原因③ 種子骨周囲炎(母趾足底の痛み)
ポイント
母趾球の内外2つの種子骨とその周囲の腱・靭帯に炎症。踏み切り・ダッシュ・ヒールで悪化。
まずやること
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オフロード:ダンサーズパッド(種子骨部をU字でくり抜く)/前足部のロッカーソール。
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靴:クッション性+前足部のねじれにくさ。ヒール・硬い前足部は回避。
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ふくらはぎストレッチと母趾底屈筋の優しく使える範囲の筋トレ。
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痛みが強い間はつま先立ち/ジャンプ/ダッシュは中止。
見逃し注意
骨折(種子骨の疲労骨折)でも似た痛み。局所の強い圧痛や腫れが続くなら画像評価を。
原因④ 痛風(関節全体の熱感+激痛)
ポイント
尿酸結晶による急性関節炎。MTP関節が最も定番。発赤・熱感・腫脹が強く、布が触れるだけで痛いことも。
まずやること
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安静・挙上・冷却、内科でNSAIDs/コルヒチンなどの薬物治療。
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水分摂取、アルコール・高プリン食の調整。再発予防は尿酸管理(内科で継続)。
要受診
発熱・広範な発赤、蜂窩織炎が疑わしいときは速やかに医療機関へ。
すぐできるセルフチェック
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指で押す
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内側の骨の出っ張りが痛い→外反母趾寄り
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母趾の甲側を反らすと痛い→強剛母趾寄り
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母趾球の一点がズキッ→種子骨周囲炎寄り
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触れるだけで全体が激痛+赤く熱い→痛風寄り
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動かす
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背屈(反らす)で痛い→強剛母趾
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踏み切り(母趾に体重)で痛い→種子骨周囲炎
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靴で変わる?
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幅広・硬めソールで楽=機械的負荷の関与が強い
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よくある質問(Q&A)
Q1. 外反母趾は筋トレで治りますか?
A. 変形そのものの根治は難しいですが、母趾外転筋強化+靴・インソール調整で疼痛と進行を抑えられる例が多いです。
Q2. 強剛母趾に“曲がる柔らかい靴”は良い?
A. 逆効果になりやすいです。硬めソール/ロッカーソールで母趾の反り返りを減らすのが基本。
Q3. 種子骨の痛みは湿布で様子見してOK?
A. 初期はOKですが、**オフロード(ダンサーズパッド等)**を同時に行わないと長引きます。痛みが続く/腫れが強いなら受診を。
Q4. 痛風発作が疑わしい時のNG行動は?
A. 温める・無理に歩く・飲酒は悪化要因。まずは安静+冷却、早めに内科へ。
最終更新:2025-09-29



