ロードシス(骨盤前傾)の原因と治し方

不良姿勢の代表である「ロードシス(骨盤前傾)」の原因と修正方法について、わかりやすく解説していきます。

ロードシスとは

アライメント
骨盤前傾、腰椎前弯の増強、膝関節の過伸展、 足関節の軽度底屈
優位または短縮しやすい筋 延長または弱化しやすい筋
胸腰部脊柱起立筋、梨状筋 腹筋群
腸腰筋 大殿筋、腰仙部脊柱起立筋
ハムストリングス

上の表は、左右で拮抗する筋肉を示したものです。

腸腰筋が短縮して骨盤が前傾(腰椎の前弯増強)した姿勢をロードシスといい、一般的にもよく認められる不良姿勢のひとつです。

腸腰筋が短縮しやすい理由としては、ライフスタイルの変化で座位(短縮肢位)の時間が長くなったことなどが考えられています。

重心が前方にあるということは足底前方(足趾側)に体重が乗っているということで、足趾に豆ができたりすることにもつながります。

また、腰椎の前弯が増強するので椎間関節の負担が増えて、結果的に椎間関節障害や腰椎分離症などの発生にも関与します。

筋肉の硬さは疲労が原因

私が評価や治療を行う上で、最も大切している要素のひとつが「硬くなりやすい筋肉」に硬さが存在するかどうかです。

硬くなりやすい筋肉については、リハビリテーション医のヤンダ先生がまとめてくれていますので、以下の表を参考にしています。

硬くなりやすい緊張性システムの筋群

弱くなりやすい相同性システムの筋群

上肢帯

後頭下筋群 中部・下部僧帽筋
大胸筋・小胸筋 菱形筋
上部僧帽筋 前鋸筋
肩甲挙筋 頸部深部屈筋群(最長筋、頭長筋)
胸鎖乳突筋 ※斜角筋
※斜角筋 上肢伸筋群
広背筋 回外筋
上肢屈筋群 顎二腹筋
回内筋
咀嚼筋

下肢帯

腰方形筋 腹直筋
胸腰部脊柱起立筋 腹横筋
梨状筋 大殿筋
腸腰筋 中殿筋
大腿直筋 小殿筋
腸脛靭帯 内側広筋、外側広筋
ハムストリングス 前脛骨筋
短内転筋 腓腹筋
下腿三頭筋(特にヒラメ筋)
後脛骨筋

それでは、なぜ筋肉が硬くなるのかについてですが、その最大の原因が常に緊張を強いられて疲労していることにあります。

基本的にヒトは過剰な筋緊張がなくても立位などの姿勢を保持できる構造をしており、その理由は重心を中央に保てているからです。

しかしながら、何らかの理由で重心が偏位すると、重心を中央に戻すために筋肉が働くことになり、その状態が続くことで筋肉は疲労します。

例えば、重心が前方にあると後方の筋肉が働くことになり、収縮を強いられ続けると筋肉は硬くなってしまうわけです。

筋肉は関節周囲に付着するため、収縮して伸張され続けると付着する関節に痛みを起こし、さらに筋自体に圧痛を認めることになります。

筋肉の疲労は前方重心が原因

次に見てほしいのが、重心を「前方に移す筋肉」と「後方に移す筋肉」の一覧表です。

部位 前方 後方
足関節 前脛骨筋 ヒラメ筋、後脛骨筋
膝関節 大腿四頭筋 ハムストリングス
股関節 腸腰筋 大殿筋
脊椎 腹直筋 胸腰部脊柱起立筋
頸部 頸部屈筋群 頸部伸筋群

上記の表とヤンダ先生がまとめた表を見比べてみると、硬くなりやすい筋肉のほとんどは重心を後方に移すための筋肉であることがわかります。

唯一、骨盤と股関節の動きに関与する腸腰筋と大殿筋のみが逆であり、ここに重要な問題が潜んでいると考えられます。

実際に痛みを訴える患者の多くに腸腰筋の圧痛や短縮が認められ、同時に拮抗筋である大殿筋の萎縮を起こしています。

基本的に硬くなっている筋肉は身体を支えているからであり、脊柱起立筋がガチガチだからといって、単純にそこを揉むだけでは何も解決しません。

むしろ、身体を支えている筋肉をほぐしてしまったせいで、別のところに問題が波及してしまうリスクすらあるわけです。

そのことを重々に理解してから、アプローチしていくことが大切です。

伸張①:腰部伸筋群

腰部伸筋群を伸張するためには、仰向けの状態から身体を丸めるようにして、腰椎を屈曲させていきます。

伸張②:腸腰筋

腸腰筋を伸張するためには、伸ばしたい側の骨盤を床に近づけていき、体幹を反対側に側屈していきます。

その際に腰が反りすぎないように注意してください。

この方法では主に大腰筋が伸張でき、体幹を屈曲位に持っていくと腸骨筋を選択的ににストレッチできます。

筋力強化①:腹筋群

腹筋群を強化するためには、仰向けの状態から身体を丸めるようにしながら、体幹を屈曲させていきます。

しっかりと胸腰椎が屈曲することを意識しながら実施してください。

筋力強化②:大殿筋

大殿筋を強化するためには、うつ伏せの状態から膝関節を90度屈曲し、脚を天井に持ち上げるようにしていきます。

膝関節をやや屈曲させておくことでハムストリングスの代償を防ぐことができ、足首に重りを付けることで負荷を高められます。

運動時に脊柱起立筋の代償が入ると腰椎の前彎を強めるので、お腹にクッションを置いて腹筋群に力を入れてから実施すると腰の反りを抑えることができます。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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