1)前面の触診(下腿前〜足背)
チェック観点:脛骨前縁の圧痛、伸筋群の過緊張、距腿関節の裂隙所見
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脛骨前縁(疲労骨折好発)
近位内側/遠位内側/中間外側の3点で限局圧痛・微小腫脹・叩打痛を確認。運動で増悪・安静で軽快は疲労骨折を示唆。 -
筋腱の触診
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前脛骨筋:脛骨前縁外側を遠位へ。過用で筋腹・腱移行部に圧痛。
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長母趾伸筋/長趾伸筋:母趾・第2–5趾を伸展して腱を立たせ、走行上の圧痛・摩擦音を確認。
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距腿関節裂隙(足背):裂隙幅・滑走・関節包圧痛。滑膜炎や関節内病変があれば腫脹・熱感。
反復捻挫、関節リウマチ、関節内骨折後のアライメント不良→変形性足関節症を念頭に。 -
前足部の変形
外反母趾/内反小趾、第1MTPの**急性発赤・激痛(痛風性関節炎)**の有無を確認。
2)内側の触診(内果〜舟状骨・足根管)
チェック観点:後脛骨筋腱、三角靱帯、足根管
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後脛骨筋腱:内果後方→舟状骨粗面へ。内反負荷で腱を立て、圧痛・肥厚・捻髪音を確認。内果との摩擦性腱鞘炎が多い。
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三角靱帯:内果から舟状骨・距骨・踵骨へ。外反位で緊張を触知。足関節は骨性にも靱帯性にも外反に強い(外側果が長い/三角靱帯が強固)ため、外反捻挫は稀だが受傷時は重症化しやすい。
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屈筋支帯と足根管:内果後下方のトンネルを通る脛骨神経・後脛骨筋腱・長趾/長母趾屈筋腱を丁寧に。Tinel様叩打で足底の放散(足根管症候群)を確認。
3)外側の触診(外果周囲〜腓骨筋腱)
チェック観点:外側靱帯群、腓骨筋腱、動揺性
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外側靱帯
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前距腓靱帯(ATFL):外果前方→距骨頸部。内反捻挫で最頻損傷。
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踵腓靱帯(CFL):外果先端後下→踵骨外側壁。
圧痛局在化+前方引き出し(距腿前方動揺)、内反ストレスで不安定性を評価。
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腓骨筋腱
外果後方の溝を走行。-
短腓骨筋腱:第5中足骨粗面へ。
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長腓骨筋腱:足底を斜走し第1中足骨・内側楔状骨へ。
摩擦・過用で腱鞘炎/腱嗝音。腱脱臼の有無も併せて確認。
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慢性不安定症
急性期に適切固定がないと靱帯延長→関節弛緩→反復捻挫の悪循環。段階的リハ+安定化装具が必要。
4)後面の触診(アキレス腱〜腓腹筋)
チェック観点:アキレス腱(本体/付着部/滑液包)、アライメント、腓腹筋
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アキレス腱:挟圧痛・肥厚・捻髪音。背屈で伸張痛。
踵骨付着外側の圧痛は後部滑液包炎を示唆。
視診でアキレス腱と足跟の軸をみて、外反>5°=外反足(足底内側荷重→アーチ低下・扁平足)。 -
荷重評価の簡便法:靴底の磨耗パターンで過荷重域を推定。
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腓腹筋:内側頭の筋腱移行部に肉離れ好発。圧痛・断裂溝・ストレッチ痛を確認。
5)足底の触診(足底腱膜)
チェック観点:足底腱膜の緊張・付着部痛、機能
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母趾背屈で腱膜を立て、内側縦走線を近位へ。
踵骨内側突起付着部の限局圧痛は足底腱膜炎。 -
機能:歩行時スプリング機構・血管神経の保護。アーチ低下で腱膜負荷増。
臨床でのコツ
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“動かして触る”:筋腱・靱帯は**機能肢位(緊張位)**で最も触知が容易。
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限局 vs. 広範の痛みで骨・靱帯・腱鞘・関節包を振り分ける。
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不安定性テストは健側比較を徹底。
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反復捻挫・アーチ低下・シューズ摩耗など力学的背景を必ず拾う。
よくある質問(Q&A)
Q1. 疲労骨折とシンスプリントの触診の違いは?
疲労骨折は点状の強い限局圧痛と叩打痛、運動で増悪。シンスプリントは脛骨内側縁の帯状圧痛が広く続きます。
Q2. 外反捻挫は本当に少ない?
はい。外側果が長く三角靱帯が強固なため稀ですが、受傷時は広範損傷になりやすく重症度は高めです。
Q3. 足根管症候群の簡便な所見は?
内果後方の叩打で足底に放散痛(Tinel様)。長時間立位や過回内で増悪しやすいです。
Q4. 慢性足関節不安定は触診で何を見る?
ATFL/CFLの圧痛の既往+前方引き出し・内反ストレス陽性。腓骨筋腱の滑走不良や腱脱臼も併発チェック。
Q5. 足底腱膜炎はどこが一番痛い?
踵骨内側突起の付着部。朝一歩目痛が典型。腱膜線上の圧痛で走行をたどると再現しやすいです。
Q6. どの所見が“要画像”のサイン?
夜間痛の強い限局圧痛、急速な腫脹、荷重不能、発赤発熱、神経障害(足底のしびれ・脱力)などは速やかな医療受診と画像を。
最終更新:2025-10-05




