変形性膝関節症は片脚立位を安定させる

要点(まずここだけ)

  • ラテラルスラスト=歩行時に膝関節が外側へ瞬間的に揺れる現象。放置すると内反膝(O脚)→軟骨・半月板の摩耗を加速。

  • 主因は伸展制限動的安定化筋の弱化(①内側広筋 ②大内転筋 ③大殿筋 ④中殿筋)。

  • 股関節・足部の連鎖がカギ。内転筋弱化→後脛骨筋弱化→過回内(扁平足)→膝外側揺れを助長。


ラテラルスラストとは?

膝は本来、屈伸+微小な回旋で働く“らせん関節”。内外反は構造的に苦手です。
それでも**外側揺れ(ラテラルスラスト)**が繰り返されると、内側関節面への荷重集中が続き、内反変形(O脚)と変形性膝関節症を進行させます。


主な原因

  1. 膝伸展制限
     膝がロックできず、接地~立脚中期で外側へ逃げる

  2. 筋力低下
     - 内側広筋(VMO):膝蓋骨の内側ガイドが弱く、外側化→動揺増大
     - 大内転筋:大腿の内側支持が弱く、膝内反モーメント増
     - 大殿筋・中殿筋:骨盤の横ぶれ増大→膝外側揺れ

  3. 隣接関節の問題
     - 股関節:内転筋弱化/内旋優位
     - 足部過回内(後脛骨筋弱化)で内側へ崩れ→膝外側揺れ

  4. 動作・履物
     歩行中のつま先外向き/内向きの癖、摩耗した靴底、硬すぎ/柔らかすぎるミッドソール など


評価ポイント(臨床の流れ)

  • 歩行観察:立脚初期~中期の外側瞬間揺れ、膝伸展の不十分、骨盤の横揺れ

  • 関節可動域:膝**伸展終末(+α)**の可否、足関節背屈、股関節伸展・外旋

  • 筋力・機能:VMO促通、内転筋・大殿筋・中殿筋の等尺保持、片脚立位の安定時間

  • 足部アライメント:回内/回外、縦・横アーチ、シューズ摩耗


介入戦略(順序が大事)

① 痛み・炎症のコントロール

  • 活動量調整、必要に応じてニーサポーターで横揺れを一時的に抑制

  • 膝蓋骨モビライゼーション膝蓋下脂肪体のオフロード(痛みを伴う場合)

② 伸展制限の解除

  • **後方組織(ハム・腓腹筋)**の滑走改善

  • トランスレーションに配慮しながらの他動伸展(大腿骨前方すべりを抑えるハンドリング)

  • 伸展最終域で痛みゼロの範囲を反復

③ 動的安定化筋の再教育

  • VMO促通パテラセッティングリズミカル&短時間反復で開始遅れを是正

  • 大内転筋:ボール挟みブリッジ/サイドランジの内転駆動

  • 大殿筋・中殿筋:ヒップヒンジ、クラムシェル、側方ステップ→片脚スクワットへ段階的に

④ 足部からの連鎖修正

  • 後脛骨筋・足内在筋トレ(タオルギャザー、ショートフット)

  • 過回内が強いならインソールやシューズ再選定を検討

⑤ 動作再学習

  • 片脚立位:骨盤水平・膝正面・足部中間位を鏡でフィードバック

  • ミニスクワット/ランジ:膝が母趾〜第2趾の間を通るラインを徹底

  • 歩行:立脚初期の膝伸展と股関節伸展を同調、骨盤の横ぶれを殿筋で制御


自主トレ(痛みが強くない時期)

  • VMOセッティング 10回×3セット(1回1秒収縮を素早く)

  • ヒップヒンジ 10回×3(脊柱中立・お尻主導)

  • クラムシェル 12回×3(チューブ軽負荷)

  • ショートフット 30秒×3(立位)

  • 片脚立位 20〜30秒×3(膝の外側揺れゼロを目標)


よくある質問(Q&A)

Q1. まず何から始めれば良い?
A. 痛みの軽減→膝伸展の確保→VMOと殿筋の促通。この順番が崩れると外側揺れは止まりにくいです。

Q2. インソールは必須?
A. 過回内が強い/足内在筋が弱いなら有効。運動療法と併用すると再発予防につながります。

Q3. どの筋を最も鍛えるべき?
A. VMO・大内転筋・大殿筋・中殿筋協調。単筋特化より連携を重視してください。

Q4. 片脚立位でぐらつきます
A. 足部の中間位セット→膝正面→骨盤水平を鏡で確認**。保持時間よりを優先。


最終更新:2025-10-08