1) 「安定した姿勢」とは
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安定の条件は2つ:①支持基底面が広い ②重心の高さが低い。

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同じ形でも重さが下に集まるほど倒れにくい(重心が低いから)。

2) 支持基底面と重心線
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支持基底面:床に触れている部位で囲まれる面(立位なら左右足底で囲む面)。

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重心線:重心から床へ下ろした垂線。
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最も安定するのは、重心線が支持基底面の中央付近にあるとき。
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外力が左から来ると分かっていれば、重心をやや右寄せにして余裕(マージン)をつくるのが合理的。
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重心線が支持基底面から外れた側へ転倒する。
だから「面を広く」「線を中心(または狙い方向に余裕)」が基本戦略。

3) 運動連鎖の考え方
ある関節のズレは、重心線を戻すために他関節の動きとして連鎖する。評価は3面(矢状・前額・水平)で。
矢状面(前後)
例)足関節が背屈 → 重心前方
→ 膝屈曲(後方へ戻す) → 股屈曲(前方へ) → 骨盤後傾(後方へ) → 腰椎屈曲(前方へ) → 胸椎伸展(後方へ) → 頸椎屈曲(前方へ)
※実際は必要最小限の組み合わせで調整され、必ずしも全段は連鎖しない。
前額面(左右)
例)足関節内反 → 重心外側
→ 膝内反(内側へ戻す) or 使わず
→ 股外転/骨盤傾斜(外側へ) → 腰椎内側へ → 胸椎外側へ → 頸椎内側へ
※膝は蝶番関節寄りのため、股関節と骨盤での代償が主役になりやすい。長期化でX脚/外反ストレスの温床。
水平面(回旋)
例)足部回内(外反複合:背屈+外転+回内)
→ 下腿内旋 → 股外旋 → 骨盤回旋 → 腰椎反対回旋 → 胸椎回旋 → 頸椎反対回旋
※膝は回旋耐性が低く、股関節・骨盤での調整が中心。慢性化で下腿外旋症候群などにつながることも。
4) 重心線が通るべきランドマーク(正姿勢の目安)
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外耳道—肩峰—第2腰椎近傍—大転子やや前—膝関節やや前—外果前方
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脊柱は穏やかなS字。
意味:①筋活動が少なく疲れにくい ②関節荷重が分散し摩耗を防ぐ。
5) 姿勢矯正の3ステップ
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リアライン(配列の是正)
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例:扁平足・外反母趾、骨頭前上方変位、腰椎前方すべり…
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徒手介入+補助具(サポーター/インソール/タップ)で荷重線を修正。
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スタビライズ(保持)
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直した配列を筋で保つ反復。局所だけでなく体幹・股関節・足部を連結させて練習。
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コーディネイト(動作学習)
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立ち上がり・歩行・階段・持ち上げ動作を正しい配列で遂行するよう再教育。
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静的に整っても動きで崩れれば再発するため、日常動作に落とし込む。
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よくあるQ&A
Q1. 良い姿勢=胸を張る?
A. 過度な胸張りは胸椎過伸展になりがち。重心線と肋骨下部の静かな前方回旋を意識。
Q2. 立ち仕事で疲れにくいコツは?
A. 支持基底面を広く(足幅をやや広め)し、重心線を中央。時々前後左右に微小シフトして荷重集中を回避。
Q3. フラットバックや反り腰は何から直す?
A. まずリアライン(胸郭・骨盤ポジション)、次にスタビライズ(腹圧・臀筋群・ハム)→コーディネイトへ。
Q4. 足部の崩れは姿勢に影響する?
A. 大きく影響。回内過多は膝・股・骨盤へ連鎖。必要に応じインソール+後足部矯正+ヒラメ筋/後脛骨筋の再教育を。
Q5. 家でできる簡単チェックは?
A. 壁に後頭部・肩・殿部・踵をつけ、腰の隙間は手のひら1枚程度。呼吸を止めずにその姿勢で30秒楽に立てるかを確認。
最終更新:2025-10-07


