寝返り動作から起き上がり動作までの姿勢分析の評価とポイント

要点先取り

  • 仰臥位は「後頭部・肩甲骨・仙骨・踵」に圧が集中 → 褥瘡ハイリスク

  • まずはどこで支えているか皮膚の発赤を確認

  • 寝返り・起き上がりは支持基底面を狭める/重心をずらすがコツ


1) 仰臥位の初期チェック

圧と皮膚

  • 後頭部・肩甲骨・仙骨・踵・棘突起の圧集中発赤を確認

  • マットのしわ・段差・湿潤は除去(剪断と浸軟を防ぐ)

アライメント(左右差)

  • 肩:肩峰の高さ/肩甲骨の位置(疼痛側は挙上・防御緊張しがち)

  • 胸郭:肋骨の左右高さ差(回旋や側弯の示唆)

  • 骨盤:ASISの高低/回旋(骨盤後傾・側傾の有無)

  • 下肢:股・膝・足の内外旋(外旋優位で短縮や痛みを疑う)

目安:対象化→原因推定→即時調整(小タオルやクッションで“面で支える”)


2) 褥瘡予防の基本

  • 体位調整は概ね2時間以内(皮膚状態次第で短縮)

  • 圧の「一点集中」を避け、面で支持(ゲル/ウレタン/エアを使い分け)

  • 仙骨・坐骨・踵の除圧を優先。踵は浮かすか柔らかい支えで

発赤が30分以上消えない→その部位は即除圧・再評価


3) 寝返りを“起きる姿勢”に整える

3-1 準備(省エネ設計)

  • 支持基底面を狭める:両膝を軽く屈曲(枕/くさびで保持可)

  • 重心を上げる:股・膝屈曲で重心が高くなり、動き出しが軽くなる

  • 重心を行きたい側へ先にずらす
    頭と目線・両前腕・膝を寝返り側へ(“おへそを行きたい方へ向ける”)

3-2 実行(最小筋力で)

  1. 頚・胸郭を先に回す(目線→顎→胸)

  2. 骨盤を追従(上側の膝を前へ滑らせる)

  3. 肩保護のため下側肩甲骨は前方・下方へ(挟み込み防止)

高齢者は腹斜筋の爆発的収縮が難しいため、重心外しの準備が9割。


4) 起き上がり(寝返り→on elbow→on hand→坐位)

4-1 on elbow(肘支持)への移行

  • 下側の肘を肩の真下よりやや前、前腕は掌位〜回外で安定

  • 反対手はベッドを軽く押して補助

  • 肩甲帯:下制+前方突出で体幹を肘に“乗せる”(押し上げるではなく乗せる

ぎっくり腰,起き上がり方,腰に負担をかけない

4-2 on hand(手支持)→坐位

  • 上腕三頭筋で肘伸展広背筋で肩伸展しながら体幹を起こす

  • 殿部に重心線を移す → 手の支持を段階的に軽く → 離す

ベッドエッジ利用

  • 下肢を外へ出し脚の重さをモーメントとして利用(体幹挙上を補助)

肩痛・亜脱臼がある場合:肘支持は短く前方アームサポートやクッションで荷重分散


5) よくあるエラーと修正

  • 骨盤後傾のまま起こす → まず骨盤前傾方向へ小タオルで微調整

  • 肩が耳に近い(すくめ) → 介助手で肩甲骨下制誘導

  • 膝が伸びたまま → 事前に膝屈曲保持で支持基底面を狭める

  • めまい・起立性低血圧 → ステップアップ(仰臥位→側臥位→肘支持→手支持→坐位)で段階時間を確保


6) 安全上の留意点(赤旗含む)

  • 急性脊椎不安定・新規圧迫骨折・術後指示頚/体幹の過度回旋は回避

  • 創部・デバイス(PEG・ドレーン・点滴)は圧と牽引をゼロに

  • 頚動脈洞過敏/高度頚椎症:頚の素早い回旋・伸展を避ける

  • 強い頭痛・悪心嘔吐・持続する回転性めまい・神経症状出現時は中止し医療者へ


Q&A

Q1. 体位交換の頻度は?
A. 目安は2時間以内。皮膚の赤み・発汗・栄養状態で短縮。ティルトや除圧クッションで**“動かしながら守る”**が理想です。

Q2. 寝返りがきつい高齢者の第一歩は?
A. 膝枕で両膝屈曲+目線先行+上側腕を前へ。重心外しの準備を整えれば、必要筋力が激減します。

Q3. 肩が痛くて肘支持が怖い
A. 肩甲骨下制・前方誘導を介助。前腕で面支持し、必要ならクッションや前方アームトレーを。

Q4. 踵の褥瘡が心配
A. 踵は“浮かす”が基本。枕はアキレス腱を圧迫しない形でふくらはぎ下に。保湿とズレ防止もセットで。

Q5. 起き上がりでふらつく
A. 段階起坐深呼吸、坐位で30–60秒安静。降圧薬や脱水も確認し、必要時は医療者に相談。


最終更新:2025-09-24