短母趾伸筋(extensor hallucis brevis)

短母趾伸筋の概要

短母趾伸筋の起始停止

  • 足背外側の深層で、短趾伸筋(EDB)の内側部が独立した筋

  • 母趾MTP関節の伸展が主作用(IP関節までは届かないため、IP伸展は**長母趾伸筋(EHL)**が担う)。

  • ラン・ジャンプ、硬い靴での足背圧迫で過負荷になりやすい。

基本データ

項目 内容
支配神経 深腓骨神経
髄節 L5-S1
起始 踵骨上外側(足根洞付近)前背側面下伸筋支帯
停止 母趾基節骨底背側(趾背腱膜)
栄養血管 足背動脈
動作 母趾MTP関節の伸展(IPはEHLが主)
拮抗筋 短母趾屈筋

運動貢献度(順位)

貢献度 母趾伸展
1 長母趾伸筋
4 短母趾伸筋

触診のコツ

  • 体位:長座または背臥位。

  • ランドマーク:母趾を軽く伸展させると、第1中足骨背側でEHL腱の“外側”に細い腱の隆起=EHB腱が触れる。

  • コツ足関節背屈を入れすぎない(EHL優位になり、EHBが埋もれやすい)。


ストレッチ

短母趾伸筋|ストレッチ方法

  • 方法:片手で踵を支え、もう一方で母趾基節をゆっくり屈曲

  • 注意足関節の過度な底屈/背屈は避ける(EHLにテンションが移りやすい)。母趾単独でコントロール。


筋力トレーニング

短母趾伸筋|筋力トレーニング

  • アイソメ伸展:母趾を上に反らす→反対足の甲や手指で軽抵抗をかけ3–5秒保持×反復。

  • 分離運動:足関節の動きを抑え、母趾だけを伸展(EHLに持っていかれないよう足首中間位で)。


クリニカルメモ

  • EHB=EDBの内側部:第2–4趾へ伸びるEDBと起始を共有。足根洞周囲の**圧痛(sinus tarsi周囲)**が併発することも。

  • 母趾背側痛では、EHBの過使用に加えEHL腱・種子骨障害・第1列過回内などを併せて鑑別。


よくある質問(Q&A)

Q1:EHBはIP関節も伸ばしますか?
A:いいえ主にMTP関節を伸展。IP伸展はEHLが担います。

Q2:EHLとEHBの鍛え分けは?
A:足関節を中間位に固定し、母趾のみ伸展の分離を徹底。背屈を強く入れるとEHL優位になります。

Q3:足背がすぐ攣る
A:アイソメ短時間×回数で慣らし、ストレッチと交互に。靴の甲圧・シューレースの締めすぎも見直しを。

Q4:触診で腱が見つからない
A:母趾にのみ抵抗をかけるEHL腱外側をスライド。第1中足骨背側で細い索状物を辿ると触れやすい。

Q5:どんな人が痛めやすい?
A:前足部接地のランナー硬い甲のシューズ使用者、母趾可動域が狭い人(EHL代償→EHB過緊張)など。


最終更新:2025-10-07