短母趾屈筋(flexor hallucis brevis)

短母趾屈筋の概要

短母趾屈筋の起始停止

  • 足底内側の内在筋。足底腱膜・母趾外転筋・**長母趾屈筋腱(FHL)**の深部に位置。

  • 2頭性(内側頭/外側頭)。FHL腱を挟み込むように並走し、両種子骨を介して母趾基節骨底へ停止。

  • 作用は母趾MTP屈曲(IP屈曲はFHLが主)。

基本データ

項目 内容
支配神経 内側頭:内側足底神経(L5-S1
外側頭:外側足底神経(S1-2
起始 立方骨下面内側、(内・外)楔状骨、後脛骨筋腱からの腱板 など
停止 内側頭:内側種子骨→第1基節骨底
外側頭:外側種子骨→第1基節骨底
動作 母趾MTP屈曲
血管支配 1底側中足動脈

運動貢献度(順位)

貢献度 母趾屈曲
1 長母趾屈筋
2 短母趾屈筋

触診のコツ

  • 肢位:足関節最大底屈(=FHLをゆるめる)。

  • ランドマーク母趾基節骨底の両種子骨周囲で、軽いMTP屈曲を促すとFHL腱の左右にFHBの収縮が触れやすい。

  • 起始側立方骨下面内側を深部へ圧入し、母趾屈伸で反応を確認。


ストレッチ

短母趾屈筋|ストレッチ方法

  • 母趾のみ背屈(MTP伸展)し、足関節は底屈位を維持(背屈を入れるとFHLが伸びてしまう)。

  • 痛みのない範囲で20–30秒×2–3回


筋力トレーニング(選択的にFHBへ)

短母趾屈筋|トレーニング方法

  • タオルカール(母趾つまみ):足関節底屈位で実施し、MTP屈曲を主役に(IP過屈曲=FHL代償はNG)。

  • アイソメ屈曲:母趾基節を下へ押す抵抗を指で与え、3–5秒保持×反復

  • コツ母趾先(IP)を丸め過ぎない“基節で曲げる”感覚を徹底。


トリガーポイント(TP)

  • 主訴:母趾の付け根(MP関節〜中足骨頭直下)の刺すような足底痛・踏み返し時のズキッとした痛み。

  • 誘因:つま先立ち・歩行での前足部荷重の繰り返し、硬い床での立ち仕事、きつい靴や外反母趾で母趾屈曲を強いられたとき。


臨床メモ(開張足/中足骨頭部痛)

  • FHB・母趾外転筋・母趾内転筋遠位横アーチ保持に重要。

  • 機能不全→開張足第2・3中足骨頭へ荷重集中→胼胝や中足骨頭痛

  • 介入:FHB活性化母趾内外転筋の協調足底筋膜・種子骨周囲の滑走改善、必要に応じ前足部横アーチ支持インソール


Q&A

Q1:FHBとFHLの見分けは?
A:IPが大きく曲がる=FHL優位MTP主体で曲げる=FHB。評価・トレは底屈位MTP屈曲を強調。

Q2:外反母趾との関係は?
A:遠位横アーチ低下母趾外転筋弱化で母趾配列が崩れるとFHBの力点が不利に。内外転筋との協調再教育が鍵。

Q3:種子骨周囲が痛い
A:種子骨炎/FHL腱障害も鑑別。基節屈曲で痛い=FHB、IP屈曲で痛い=FHLのことが多い。

Q4:タオルカールで土踏まずだけ疲れる
A:母趾先で丸める癖が原因。基節で押す cue小さめタオルで再学習。

Q5:触診が難しい
A:FHL腱の両側を探す最大底屈+軽いMTP屈曲でFHBが浮きやすい。


最終更新:2025-10-07