腓骨神経麻痺の概要

腓骨頭部に位置する腓骨神経が、外部からの圧迫などによって麻痺してしまった状態を腓骨神経麻痺と呼びます。
主な症状
-
下腿外側や足背、足趾背側(第5趾以外)の知覚障害
-
足関節および足趾の背屈障害(下垂足)
主な原因
-
長時間の仰臥位での牽引やギプス固定による圧迫
-
ガングリオンや腫瘍、挫傷、骨折などによる圧迫
脊柱管狭窄症と下垂足
発生のメカニズム
-
脊柱管狭窄症では、腰椎レベルで神経根が圧迫されます。
-
特にL4〜L5、L5〜S1の神経根が障害されると、前脛骨筋(深腓骨神経支配)や長趾伸筋などが働きにくくなり、結果として足関節背屈ができなくなる → 下垂足が出現します。
腓骨神経麻痺との違い
-
腓骨神経麻痺:膝外側〜腓骨頭部付近で圧迫されることで発症。局所的な障害。
-
脊柱管狭窄症:腰椎の神経根(多くはL5神経根)が圧迫されて発症。腰痛や坐骨神経痛を伴うことが多い。
臨床的特徴
-
脊柱管狭窄症の場合、腰痛や下肢痛、間欠性跛行を伴うことが多い。
-
単純に腓骨神経だけがやられている場合は、膝外側や足背の感覚障害が目立つ。
🔑 まとめると、
下垂足は 末梢(腓骨神経麻痺) でも 中枢(脊柱管狭窄症による神経根障害) でも起こり得ます。
腓骨神経の支配領域
支配筋肉
| 神経 | 支配筋 |
|---|---|
| 総腓骨神経 | 大腿二頭筋(短頭) |
| 浅腓骨神経 | 長腓骨筋・短腓骨筋 |
| 深腓骨神経 | 前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋・第三腓骨筋・短趾伸筋・短母趾伸筋 |
総腓骨神経は脛骨神経と並ぶ太い神経で、膝窩から腓骨頭を回り、浅腓骨神経と深腓骨神経に分枝します。
支配知覚
腓骨神経は下腿外側から足背にかけての感覚を支配しており、障害されるとしびれや感覚鈍麻が出現します。
装具療法
腓骨神経麻痺では下垂足により歩行時のつまずきリスクが高まります。
そのため以下のような装具療法が行われます。
-
短下肢装具(AFO):足関節を背屈位で保持し転倒を予防
-
ストラップタイプ装具:簡易的に足関節底屈を防ぐ
-
ブーツタイプの靴:軽度麻痺では有効な場合あり
装具を使わない場合、下肢を大きく持ち上げる「鶏歩(steppage gait)」が出現することがあります。

激安EMSで腓骨神経麻痺を治療する
ある日、ドンキ・ホーテで999円のEMS機器を発見し、臨床で使用してみました。
-
機能:10段階の強さ調節、6種類のモード、5〜30分の設定時間
-
実際の使用:前脛骨筋への刺激を狙ったが、下腿三頭筋が優位に収縮 → パッド位置を調整
-
結果:正しい位置に貼付すると背屈と内反の収縮が確認できた

実際の患者にも使用したところ、初回は随意運動困難でしたが、2回目でわずかな収縮が出現。「あっ、わかった!」と動かす感覚を掴めたことが印象的でした。
結論:高価な機器でなくても、正しく当てられれば安価なEMSでも効果は期待できる。ただし、パッドの耐久性は低めです。

Q&A
Q1. 腓骨神経麻痺は自然に治るの?
軽度の圧迫による一過性麻痺なら自然回復も期待できますが、腫瘍や骨折によるものは治療介入が必要です。
Q2. 装具は必ず必要?
麻痺が軽度であればブーツなどで代用できることもありますが、転倒リスクを考えると短下肢装具が推奨されます。
Q3. 安いEMSでも効果はある?
効果は「正しく当てられるか」に左右されます。高価な機器だから必ずしも優れているわけではありません。
Q4. リハビリで大切なことは?
電気刺激に頼るだけでなく、随意的な動きを促すリハビリを組み合わせることが重要です。
最終更新:2025-10-15
