「痩せれば膝は楽になりますよ」と言われても、今まさに膝が痛いから動けない──そのジレンマ、よくわかります。ここでは理学療法士の視点で、痛みを悪化させずに体重を落とす実践策をまとめました。
痩せる大原則(でも膝に優しく)
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痩せる仕組みは①摂取カロリー<消費カロリー。
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ただし運動だけでの赤字化は非効率。歩行60分の消費は目安180–240kcal。痛みが強い時期の“歩数稼ぎ”は悪手。
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だから序盤は食事で-300〜500kcal/日をつくり、膝に優しい運動で代謝と機能を上げるのが近道。
痛みを悪化させない運動ルール
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痛み目安:運動中0〜2/10、翌日まで残る痛みはNG。腫れ・熱感のある日は休む。
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回数:ゆっくり10回×2〜3セット(呼吸を止めない)。
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頻度:週4–6日(交互日に)。
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ウォームアップ:関節を小さく曲げ伸ばし1–2分 → 本セット。
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サポーター・杖は使ってOK(杖は反対手で持つと膝内側の負担が減ります)。
まず鍛えるべき“下肢3大筋”
1) 大腿四頭筋(膝前の筋)— 安定&痛み軽減の要
種目A:ストレート・レッグレイズ(SLR)
仰向けで膝を伸ばし、つま先を天井に向けたまま20cm持ち上げ、2秒上げる–2秒止める–2秒下ろす。10回×2–3。
※痛みが出る人は**タオルを膝下に入れての“ミニ膝伸展(TKE)”**に変更。

2) 大殿筋(お尻)— 体積大=代謝にも効く
種目B:ブリッジ
仰向け・膝90°。お腹を軽く凹ませ、お尻を締めて骨盤〜体幹を一直線へ。2秒上げ–2秒止め–2秒下ろす。10回×2–3。
※腰が反らないように。つらければお尻の下にクッション。
3) 下腿三頭筋(ふくらはぎ)— 立位の推進力
種目C:カーフレイズ
壁に手をつき、踵をゆっくり上げ下げ。膝を伸ばして10回→膝を少し曲げて10回(ヒラメ筋狙い)。各2セット。
※膝痛が出る角度は避ける。
下肢を“まとめて”鍛える安全版
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イスからの座り立ち(ボックススクワット):浅め可動域から。痛みがなければ少しずつ深く。
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壁スクワット(ウォールシット):20–30秒保持×3。
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段差昇降(低い台):上がる脚を交互に。
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水中ウォーキング:浮力で膝がラク。
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エアロバイク:膝にやさしい有酸素の主役。
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サドルは下死点で膝が軽く曲がる高さ(曲がり過ぎNG)
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目安20–30分、週3–5。消費は負荷次第で300–450kcal/時が狙えます。
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食事で“無理なく”赤字を作る5ルール
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甘い飲料をゼロに(カロリー最優先の削減ポイント)。
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たんぱく質を毎食(手のひら1枚の肉・魚・卵・豆/乳)で満腹感UP・筋維持。
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野菜・海藻・きのこを先に(食物繊維で血糖の急上昇を抑える)。
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主食は握りこぶし1個分を上限に(白ご飯・パン・麺の“どれか1つ”)。
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夜食・間食はプロテイン or ヨーグルト+ナッツに置換。
体重の5〜10%減で膝痛や機能は有意に改善しやすいと言われます。まず**-5%**を3か月目標に。
1週間のモデル(例)
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月:A+B(筋トレ20分)
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火:エアロバイク20–30分(楽〜ややキツい)
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水:休養 or ストレッチ
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木:A+C(筋トレ20分)
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金:エアロバイク20–30分
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土:イス座り立ち+段差昇降(各10回×2)
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日:休養
やってはいけない・注意
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痛みが強いのに歩数を増やす/深いスクワット/ジャンプ系は×
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翌日まで痛い強度は×(負荷・回数を下げる)
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関節が腫れて熱い日は中止、冷却+休養
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変形や合併症(半月板損傷・関節水腫など)がある場合は主治医・PTに相談して調整
よくある質問(Q&A)
Q1. 歩いちゃダメ?
A. 痛みや腫れが強い時期は控えめに。痛みが落ち着けば、短時間の平地歩行から再開し、距離を徐々に。
Q2. どれくらいで効果が出る?
A. 食事調整+運動で2–4週で体が軽く感じ、8–12週で-5%体重減を狙えます(個人差あり)。
Q3. サポーターや杖は使うべき?
A. 痛み/不安定がある時は積極的に。杖は反対の手、サポーターは運動中だけでも有効。
Q4. 階段がつらい…対策は?
A. 上がる時は健側先行・下りは患側先行が安全。手すり活用+段差昇降の練習で強化。
Q5. 体重が減れば運動は不要?
A. 体重減だけでは機能は戻りにくい。筋力・可動域・心肺の最低限の維持は続けましょう。
最終更新:2025-09-21
