1)膝関節前面の触診
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大腿四頭筋腱‐膝蓋骨上縁:圧痛があれば大腿四頭筋腱障害を示唆。
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膝蓋骨下極‐膝蓋靱帯‐脛骨粗面:
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下極〜靱帯の圧痛は膝蓋靱帯炎(ジャンパー膝)。
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脛骨粗面の限局圧痛/膨隆はオスグッド病(後遺症含む)。
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膝蓋骨内側縁:引っかかり感・圧痛があれば内側膝蓋ヒダ(plica)障害を疑う。
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大腿骨外側上顆前方〜腸脛靱帯(ITB):ランナー膝(ITB症候群)は外側上顆で擦れるのが典型(※内側ではありません)。
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アライメント:FTAや**O脚(内反)/X脚(外反)**を視診。荷重線異常は内側/外側コンパートメント痛の背景になります。
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膝蓋骨の可動性:伸展位で上下左右の滑走、**外側誘導での不安定感(アプレヘンション)**を確認。
2)膝関節内側の触診
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内側側副靱帯(MCL):線状の圧痛の有無。
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外反ストレステスト
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伸展位:動揺性(+)なら重症(関節包/他靱帯合併)を示唆。
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30°屈曲位:MCL単独の緩みをより選択的に評価。
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内側関節裂隙(関節線):深部圧痛は内側半月板病変を示唆。屈伸や回旋で痛みが再現されやすい。
3)膝関節外側の触診
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外側側副靱帯(LCL):索状の圧痛。
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内反ストレステスト
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伸展位:動揺(+)なら重症の不安定性。
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30°屈曲位:LCLの緩みを選択的に評価。
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外側関節裂隙:深部圧痛は外側半月板を示唆。半月板は**MCL後方(内側)/LCL前方(外側)**で触れ方が異なる点に注意。
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外側上顆~ITB:走行上の圧痛・摩擦感でITB症候群を支持。
4)靱帯・半月板のストレステスト(要・健側比較)
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前十字靱帯(ACL)
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ラックマンテスト(屈曲約20–30°):前方移動量・終末感。
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前方引き出し(90°屈曲):前方動揺。
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後十字靱帯(PCL)
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後方引き出し(90°屈曲):後方動揺。
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サギングサイン:90°屈曲位で脛骨近位が後下がり。
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半月板
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内側:関節線を圧迫+下腿外旋で、屈曲位→伸展時のクリック/疼痛(McMurray陽性に相当)。
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外側:関節線を圧迫+下腿内旋、必要に応じて軽い外反を加え同様に確認。
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膝蓋骨
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アプレヘンジョンテスト:外側誘導での不安定感/恐怖感。
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粗糙音・疼痛は膝蓋大腿関節の機械的刺激を示唆(グラインドは過刺激に注意)。
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触診のコツ/注意
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痛みの“点”か“面”かで組織を推定(点=靱帯付着・半月板、面=腱炎・滑膜)。
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腫脹・熱感が強いときはまず炎症コントロール(RICEや荷重調整)を優先。
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赤旗:外傷直後の荷重不能/著明な関節血腫/発熱を伴う腫脹/発赤は速やかに医療受診・画像評価を。
よくある質問(Q&A)
Q1. ITB症候群の圧痛はどこで出ますか?
大腿骨外側上顆のやや前方です。前後に膝を屈伸させると摩擦痛が再現しやすいです。
Q2. 半月板と関節裂隙の“押し方”は?
関節線を指腹で垂直に深く。屈曲位で関節面が開き触れやすく、回旋を足すと再現性が上がります。
Q3. ACL損傷はどのテストが最も頼れますか?
ラックマンが最も感度・再現性に優れます。前方引き出しはハム緊張で偽陰性が増えます。
Q4. 伸展位でも外反/内反動揺が出ると?
関節包や他靱帯合併の重度不安定を疑い、画像・専門評価を推奨します。
Q5. plica(膝蓋ヒダ)障害はどう見分けますか?
膝蓋骨内側縁~上内側の索状圧痛と、階段・しゃがみでの引っかかりが目安。半月板関与が薄い“前内側”の引っかかりがヒントです。
最終更新:2025-10-05


