梨状筋症候群(坐骨神経痛)のリハビリ治療

坐骨神経の概要

坐骨神経

  • 坐骨神経:腰仙骨神経叢(L4–S3)から形成される人体最大の末梢神経。
    梨状筋前面を通り大坐骨孔から骨盤外へ → 大腿後面を下降し、膝窩で総腓骨神経脛骨神経に分岐。

  • 障害像:大腿後面~下腿のしびれ(感覚低下)筋力低下、時に疼痛。

触診のコツ

坐骨神経|触診

  • 腹臥位。大転子—坐骨結節を結ぶ線の坐骨結節から外方1/3付近。

  • 大腿二頭筋長頭と大内転筋の間を触れると、小指径ほどの索状物。圧で不快感や放散痛が出れば陽性所見の手掛かり。

梨状筋症候群(Piriformis syndrome)

坐骨神経は梨状筋の下を通過する 坐骨神経が梨状筋の一部を貫通する
坐骨神経が梨状筋を挟んで通過する 坐骨神経が梨状筋を貫く
  • 坐骨神経は通常梨状筋の下を通る(A型)。約1割で貫通分岐して挟まれる走行(B型など)。B型は圧迫リスク高。

  • 機序:梨状筋の過緊張→前面を通る坐骨神経を圧迫。

  • 過緊張を招きやすい肢位・動作

    • 立脚期の股関節内転位荷重

    • 骨盤外方位/対側骨盤下制

    • 体幹重心(COM)の外方偏位

    • 内旋位荷重の併発で圧迫が最強化

鑑別:閉塞性動脈硬化症(ASO)

  • 70歳以上で約2%冷感、間欠性跛行、足背・後脛骨動脈の脈弱が鍵。

  • ASOは歩行トレーニングで代償循環・筋代謝が向上し症状軽快することが多い。神経痛との見極めに有用。

リハビリの進め方

  1. 鎮痛・リラクゼーション

    • 梨状筋に持続圧軽い収縮—弛緩でトーン低下。

    • 梨状筋ストレッチ(股関節屈曲+内転+内旋方向を無痛域で)。

  2. 動作再教育

    • 片脚立位で骨盤水平・COM内方保持。

    • 歩行時の内転/内旋位荷重を是正。

  3. 関連因子の修正

    • 股関節内転筋群の過緊張は外転モーメント↑→ストレッチ。

    • 中殿筋・深外旋筋の協調を促す低負荷筋トレ。

  4. セルフケア

    • 長座での過度な股関節内旋内転姿勢や、長時間座位での臀部圧迫を避ける。

    • 症状増悪日は温冷交代体位変換で負荷分散。

強い夜間痛、膀胱直腸障害、進行性筋力低下、広範な感覚消失があるときは速やかに医療機関へ(馬尾症候群などを除外)。


よくある質問(Q&A)

Q1. しびれが太腿の裏からふくらはぎに広がる。坐骨神経痛?
A. 典型的パターンですが、腰椎由来(椎間板・狭窄)やASOも類似します。SLR/梨状筋テスト脈診/歩行耐容で手掛かりを得て、必要に応じて医療機関で評価を。

Q2. 梨状筋を強く押すと足まで響く。押してほぐせば治る?
A. 一過性に楽でも圧迫し過ぎは悪化のことも。軽圧+ストレッチ+姿勢再学習のセットが安全です。

Q3. 予防は?
A. 長時間座位ではお尻の下に圧分散クッション、歩行では骨盤の水平保持・足幅確保中殿筋強化(サイドブリッジ、ヒップアブダクションなど)が有効。


最終更新:2025-10-05