1) 視診による簡易判定
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基本肢位:両足を揃えて立ち、膝蓋骨を正面に向ける(つま先は正面)。
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評価:両膝の隙間=**大腿骨内側顆間距離(インターコンドラーギャップ)**を測定。
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2横指以上の間隙 → **内反膝(O脚)**を疑う
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記録はcmで残す(再評価に有用)。
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注意:膝過伸展(リカーバタム)や股関節の過度な外旋・内旋は見かけを変える。必要に応じてごく軽度屈曲位やつま先正面化で再確認。
2) 画像診断による判定(構造的内反の把握)
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FTA(大腿脛骨角):荷重位正面X線で計測。
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目安:おおむね 176°±2° 前後が正常域
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180°以上 → **構造的内反(O脚)**の可能性が高い
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**HKA(機械的アライメント:股―膝―足関節角)**の併用で負荷線を把握。
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所見の見方:変形性膝関節症(内側コンパートメント優位)では荷重で内反が増大しやすい(歩行時の“バルス・スラスト”=外側への膝の押し出し所見に留意)。
鑑別の要点
画像で内反が明確 → 構造的内反主体。
画像で内反が乏しいのに視診・動作でO脚様 → **機能的内反(見かけ上)**を疑う。
3) 構造的内反膝の特徴と対応
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背景:骨配列・形状や加齢変化、成長期後の残存内反、内側コンパートメントOAなど。
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下肢連鎖:荷重線が内側化し、内反モーメントが増える。足部は個体差があるが、
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**後足部内反/ハイアーチ(内側化を助長)**で内反が強まるケース、
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一方で**代償的な過回内(距骨下関節回内)**が混在しているケースもある(足部は必ず評価)。
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介入の例
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荷重線の修正:片脚立位で骨盤―股―膝―第2中足骨を一直線に(骨盤の外側偏移を抑える)。
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足部介入:外側ウェッジ/内側アーチ支持などのインソールで内反モーメント低減を図る。
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装具・紹介:症状が強い/FTA≥180°で進行性/動作時バルス・スラスト顕著 → 整形外科へ連携(装具や手術適応検討)。
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4) 機能的内反膝(見かけ上のO脚)の特徴と対応
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機序(ダイナミック・ニー・ヴァーラス)
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股関節外転・外旋優位+骨盤の外側偏移
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下腿外旋や足部の過度な内外反(人により異なる)
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これらで見かけ上のO脚に見える。
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よくある誤解の修正
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“骨盤後傾=必ず大腿骨外旋でO脚”とは限らない。股関節可動性・筋活動・足部の代償で見え方は変わる。
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W座り(割座)などの持続肢位で矯正は推奨しない(成人では膝・股関節への捻転ストレスが大きい)。
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評価
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片脚スクワット/踏み台昇降/歩行:膝が外側へ張り出す(ヴァーラススラスト)、骨盤が支持側へ流れるか。
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足部:アーチの高さ、踵骨アライメント、距骨下関節の回内/回外パターン。
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介入の流れ
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骨盤外側偏移の抑制:体幹―骨盤の側方コントロール(サイドプランク変法等)。
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股関節:中殿筋(前部・中部)と大殿筋で骨盤の安定を作りつつ、膝蓋骨を第2趾方向に保つ運動学習(ヒップヒンジ、サイドランジ、片脚RDLなど)。
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足部:必要に応じて内在筋・後脛骨筋賦活やインソール併用で前足部/後足部の過度な偏りを是正。
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統合:スクワット・階段・着地動作で内反モーメントを最小化するラインを反復学習。
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5) 迅速チェックリスト
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正面立位:膝蓋骨正面、つま先正面、過伸展の影響に注意
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内側顆間距離:cmで記録(写真併用◎)
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片脚課題:骨盤外側偏移・ヴァーラススラストの有無
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足部:アーチ高・踵骨アライメント・回内/回外
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必要時:荷重位X線でFTA/HKA、進行例は整形外科へ
よくあるQ&A
Q1. 子どものO脚は自然に治りますか?
A. 成長過程で内反が目立つ時期があります。痛みや機能障害がなければ経過観察が基本ですが、強い左右差・進行・歩容異常があれば受診を。
Q2. インソールで治る?
A. 内反モーメント軽減に有効なことが多いですが、骨盤・股関節・足部の運動制御を伴わないと再発しやすいです。デバイス+運動療法が基本。
Q3. どの筋を鍛えると良い?
A. 中殿筋・大殿筋で骨盤の側方安定化、体幹側方スタビリティ、必要に応じて足内在筋・後脛骨筋。動作中は膝を第2趾方向へ。
Q4. ランニングで内側膝痛が出る。O脚が影響?
A. 内反モーメント増で内側コンパートメント負荷が高まります。ケイデンス調整・接地ライン修正、股外転筋賦活+インソールの併用が有効。
Q5. いつ医療機関へ?
A. 安静時痛・夜間痛、反復腫脹、ロッキング、進行するO脚(FTA≥180°)や歩行時の明確なヴァーラススラストがある場合は整形外科で精査。
まとめ(運用のコツ)
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画像で明確な内反→構造的内反主体:荷重線修正+インソール/装具、必要に応じ医療機関連携。
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画像は軽微だが動作でO脚様→機能的内反:骨盤外側偏移の抑制、股関節安定化、足部制御を優先し、第2趾方向に膝を通す運動学習を徹底。
最終更新:2025-10-08





