痛みの二相性(まずはここを押さえる)
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一次痛(刺すような鋭い痛み)
損傷直後の機械的刺激で自由神経終末の侵害受容器(主にAδ線維)が興奮して生じる。警告信号の性格が強く、無意味な反復刺激は避ける。 -
二次痛(鈍くうずく痛み)
数十秒〜数分で立ち上がる炎症性化学伝達物質(ブラジキニン、プロスタグランジン、サイトカイン等)による広がる痛み(主にC線維)。炎症の四徴(発赤・腫脹・熱感・疼痛)を伴いやすい。
筋膜「炎」=いつも炎症ではない
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いわゆる筋膜炎/筋膜痛は、炎症が強くないケースが多く、負荷依存性の痛み(動かすと痛い/安静で軽い)が特徴。
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例)足底筋膜炎(正確には“足底筋膜症・fasciopathy”と呼ばれることが多い):歩行や立位で痛むが、安静で軽減。局所の明確な炎症所見が乏しい症例も多く、機械的負荷の管理が中心。
重要:安静=完全停止ではなく、相対的安静+段階的負荷が基本。長期の完全安静は機能低下を招く。
瘢痕の成否と介入のタイミング
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受傷機転が明確でない微小損傷では、強い炎症〜顕著な瘢痕に至らないことが多い(ただし微小炎症・線維化は程度問題で起こりうる)。
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著しい炎症を経た損傷では、瘢痕(線維化)を残して終息し、張力の再配分から新たな部位に牽引ストレスが生じやすい。
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瘢痕期〜成熟期では、直接的な局所リリース/滑走改善が有効となりうる。炎症期直後は過刺激を避ける。
痛む場所だけをいじらない:負荷線と連結の発想
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例)上腕骨外側上顆痛(テニス肘/外側上顆痛症)
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病態は**腱・腱付着部の変性(tendinopathy)**が中心。
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上腕外側筋間中隔の張力や、ECRBなど伸筋群の負荷のかかり方、肩・肩甲帯(僧帽筋・三角筋・胸筋)の連結、体幹・下肢まで含む運動連鎖を評価。
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介入は痛みの窓を広げる→滑走・求心化→段階的なエキセントリック主体の負荷へ。
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実務プロトコル(目安)
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アセスメント:炎症徴候/痛みの性状(一次>二次か)/負荷線(どこが張っているか)
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初期(痛み強い時期):
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相対的安静+負荷変更(動作・靴・インソール・持ち方の修正)
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痛みの窓を広げる介入(温罨法、呼吸、軽い等尺、遠隔組織の滑走)
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移行〜回復期:
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層別リリース(皮膚→皮下→筋膜→筋)と滑走改善
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近接組織の求心化、エキセントリック/アイソメトリックの段階的負荷
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ホームプログラム:短時間×高頻度の日内反復(痛みは軽度不快まで)
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再発予防:
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原因動作の再設計(グリップ径、姿勢、足部アライメント等)
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ボリューム管理(急な増量を避ける)、睡眠・栄養の整備
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よくある質問(Q&A)
Q1. “一次痛が主”のケースはどう扱う?
A. 過刺激を避けるのが第一。相対的安静と負荷線の修正、遠隔組織の滑走改善から入り、痛みの窓が広がってから局所へ。
Q2. いつ“直接”ほぐしてよい?
A. 炎症徴候が沈静化し、再負荷で増悪しないことを確認してから。成熟期〜瘢痕期は局所の滑走回復が有効。
Q3. 完全安静と段階的負荷、どっちが正解?
A. 原則は段階的負荷。完全停止は短期には痛み軽減しても中長期の組織耐性を下げる。痛み指標を見ながら可動と負荷を少しずつ戻す。
Q4. テニス肘にストレッチは効く?
A. 痛みが強い時期は軽い等尺が無難。移行期以降はエキセントリック+機能的課題が中核。ストレッチは痛み軽度で短時間・反復が目安。
Q5. 足底筋膜炎は冷やす?温める?
A. 急性増悪や強い発赤・熱感があれば冷却、慢性・朝痛タイプは温罨法→荷重前の準備運動が有用。シューズ・インソールの見直しを同時に。
Q6. 瘢痕は必ずできる?
A. 程度と時期による。微小損傷では明確な瘢痕が目立たないことも。強い炎症〜組織欠損を経ると線維化が残る可能性が高い。
最終更新:2025-10-09