母趾外転筋(abductor hallucis)

この記事では、母趾外転筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。

母趾外転筋の概要

母趾外転筋の起始停止

母趾外転筋は名前の通りに母趾を外転させる主力筋です。

足の内縁に沿って走行し、腱は遠位で短母趾屈筋の内側腱と合流するため、副次的に母趾屈曲にも作用します。

母趾外転筋は母趾球の内側の膨らみを形成しており、さらに土踏まず(足底弓)のアーチ形成にも貢献しています。

基本データ

項目

内容

支配神経 内側足底神経
髄節 S1-2
起始 屈筋支帯、踵骨隆起の内側突起、足底腱膜
停止 1基節骨の底、第1中足骨の内側種子骨、短母趾屈筋腱と合流
動作 母趾外転

母趾MP関節屈曲(副次的作用)

拮抗筋 母趾内転筋

圧痛点と関連痛領域

母趾外転筋の圧痛点(トリガーポイント)は筋腹に出現し、関連痛は足首の内側を沿って起こり、足の甲にまで波及します。

ヒラメ筋が踵底部の痛みに関与するのに対して、母趾外転筋は足甲に痛みが発生することが特徴です。

母趾外転筋は足趾の筋痙攣を引き起こしやすいため、足の指がつるといった訴えがある場合は確認が必要です。

関連する疾患

外反母趾

外反母趾と母趾外転筋

外反母趾を呈しているヒトでは、母趾外転筋の腱が底側に回り込み、走行が変化することになります。

母趾外転筋をはじめとする母指球筋群の筋力低下が認められ、母趾中足骨の過内転が外反母趾角の進展に関与します。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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