「座らせる」ではなく**“座位をつくる”のがシーティング。安全・快適・活動しやすさの三拍子がそろうと、呼吸・嚥下・消化・注意力まで良くなります。現場で使える手順とコツ**をコンパクトにまとめました。
基本ポジショニング(5点チェック)
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頭・頚
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目線が水平になるように。保持困難ならヘッドサポートを使用(押しつけず“支える”)。
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体幹
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円背や捻れがある場合はバックサポートとクッションで側方・後方から支える。背面は“面で支える”が基本。
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骨盤(最重要)
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後傾・左右傾き・回旋を整える。可能なら**骨盤ベルト(45°前下方牽引)**で前滑り予防。
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座面は深く。坐骨がしっかりクッションに沈むこと。
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下肢
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大腿が座面に均等荷重。必要なら**アンカー(前座面のくさび/前滑り防止)**で“滑り座り”をブロック。
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膝は概ね90°前後。拘縮があれば“痛みなし”を優先。
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足部
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足底全面接地(フットサポート)。腓骨頭の圧迫に注意(外側ストラップを強く締めすぎない)。
上肢:膝上に大きめクッションやアームトレーで前支持。肩の牽引は避け、浮腫・亜脱臼の予防を。
セットアップ手順(迷ったらこの順)
骨盤 → 体幹 → 頭 → 下肢 → 足部 → 上肢
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座面幅:骨盤幅+指1本程度のゆとり
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座面奥行き:膝窩から2–3横指手前で止まる奥行き
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座面高:靴込みで膝約90°(大腿が浮かない/食い込まない)
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背もたれ:骨盤を立てた位置に面で接触。必要に応じランバーサポート
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フットサポート:高さと角度を合わせ、足底全面接地
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微調整:左右の傾き・回旋をクッションで微修正
**ティルト(座面ごと後傾)**は姿勢と圧を保ったまま荷重分散でき有効。リクライニング(背のみ後傾)は股関節角が開きズレ・剪断が出やすいので注意。
滑り座り(ずり落ち)の予防
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骨盤を先に決める(ベルト45°、アンカーくさび、滑り止めマット)
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背もたれは高すぎず、面で支える(局所一点で押さえない)
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ティルトを活用(わずかに後傾させると安定)
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衣類・シートのしわ・段差をなくす
円背・拘縮がある場合の工夫
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円背:柔らかいバックサポートやクッションで“背中の形に合わせて”面で支える。仙骨・棘突起の除圧を優先。
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股・膝拘縮:可動域に合わせ座面高・フットレスト角を合わせる。伸ばそうとして無理に固定しない。
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片麻痺:麻痺側に側方サポート、上肢は前方支持で肩保護。
褥瘡(床ずれ)対策
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体圧の集まりやすい部位:仙骨・坐骨・尾骨、肩甲部、棘突起
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体位変換:一人で動けない方は概ね1時間ごとに微調整/荷重解除(ティルトやクッション再配置を含む)
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クッション:体格とリスクに合わせ、厚み・沈み込み・復元性のバランスで選定(ウレタン/ゲル/エアなど)。
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皮膚チェック:赤みが30分以上消えない→即除圧・設定見直し。
100均グッズの上手な使い方(+注意)
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滑り止めマット:座面・フットサポートに敷いて前滑りを減らす。

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アーム/フットの柔らかカバー:擦過傷の予防に。巻き付けて使用も可。

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各種クッション:大小そろえて微調整に。
※医療用ではないため耐久・洗浄・通気を必ず確認。長時間の直接圧や熱こもりには注意し、皮膚観察を。
よくある質問(Q&A)
Q1. 座位時間の目安は?
A. 初回は30–60分から。皮膚や疲労を見ながら延長。1時間ごとに微調整や荷重解除が安全です。
Q2. クッションは何を選べば?
A. 体型・皮膚リスク・座位姿勢で変わります。迷ったら理学療法士・作業療法士へ相談。最低条件は十分な厚み・均一な沈み込み・洗えるカバー。
Q3. ティルトとリクライニングの使い分けは?
A. ティルト=圧分散と姿勢保持に有効。リクライニングは剪断が出やすく、組み合わせて少しティルトを先にかけるとズレを抑えられます。
Q4. 片麻痺で腕が落ちる/腫れる時は?
A. 膝上クッションやアームトレーで前方にのせ、肩は牽引しない。ストラップやスリングは圧と皮膚を確認しながら使用。
Q5. 滑り止めだけで十分?
A. 骨盤の位置決めが土台。滑り止めは補助。座面奥行き・背・フットまで揃えてはじめて効果が出ます。
まとめ
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骨盤から組み立てる → 体幹 → 頭 → 下肢 → 足部 → 上肢
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面で支える・前滑りを防ぐ・定期的に除圧
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既製品+100均でも工夫次第。ただし皮膚観察と安全確認は必須。
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個別性が大きいので、専門職と“いっしょに作る”シーティングが最短ルートです。
最終更新:2025-09-21

