小円筋の概要
小円筋は肩関節外旋の主力筋で、肩甲骨外側縁後面から起こり、上腕骨大結節の下面と肩関節包に付着します。名称が似ている大円筋(内旋)とは支配神経も作用も異なり、機能は棘下筋とほぼ同等です。
筋束は起始から停止に向けてねじれた走行をとるため、停止部付近では上部筋束が起始では下方、下部筋束が起始では上方に位置します。これは外旋可動域の最終域でのテンション最適化に寄与します。
基本データ
| 項目 | 内容 |
| 支配神経 | 腋窩神経 |
| 髄節 | C5-6 |
| 起始 | 肩甲骨外側縁後面 |
| 停止 | 上腕骨大結節下部(下方面)、肩関節包 |
| 栄養血管 | 後上腕回旋動脈、肩甲回旋動脈 |
| 動作 | 肩関節の外旋 |
| 筋体積 | 39㎤ |
| 筋線維長 | 5.7㎝ |
運動学の要点:外旋は**肩屈曲90°位(いわゆる“3rd”)**で小円筋の寄与が最も高まりやすい。外転0〜30°の外旋は棘下筋の寄与が相対的に大きくなります。
ポジション別の肩関節外旋運動の特徴
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1st(肩下垂位):小円筋は比較的活動しにくい
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2nd(肩外転90°):棘下筋下部線維と活動が被り、鑑別しづらい
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3rd(肩屈曲90°):小円筋の寄与が最大。評価・トレーニングはこの位での外旋が有効
触診方法

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解剖学的ランドマーク:棘下筋と大円筋の間(肩甲骨外側縁沿い)
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体位・誘発:肩関節屈曲90°(3rd)で外旋に抵抗 → 起始付近で小円筋の収縮を触知
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注意:後方は三角筋後部で覆われるため、直接触れられるのは起始部の一部。圧痛は健常者でも出やすい
ストレッチング

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姿勢:肩屈曲150°・内旋、肘は軽度屈曲
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手技:反対手で肘を斜め上方へ引き寄せ、肩関節の水平内転+内旋成分を加える
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目的:後方関節包と小円筋の短縮を同時に緩める(過伸張・前方不安定例は慎重に)
筋力トレーニング

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体位:屈曲90°位で前腕を机に支持(肘90°)
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方法:両手でゴムバンドを把持し、肩外旋を行う
トリガーポイント(TP)

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主訴:肩後外側~上腕外側の限局痛(外旋・水平外転終末域で増悪)、ときに薬指・小指の鈍いしびれ様の連れ。
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誘因:投球/サーブ等の反復外旋、90/90外旋での過負荷、外旋位保持(マウス・運転)、後方関節包タイトネス+猫背、腕枕など就寝位の圧。
関連疾患・病態
Q&A
Q1. 小円筋と棘下筋はどう使い分けて鍛える?
A1. 屈曲90°位での外旋は小円筋の選択性が高まりやすい。一方、**外転0~30°**での外旋(サイドライイングER等)は棘下筋の寄与が相対的に高くなります。
Q2. 前方不安定性がある患者のストレッチで注意点は?
A2. 内旋+水平内転の終末域での過度な伸張は避け、痛み手前で可動域を微調整。肩甲骨の固定と体幹回旋の代償抑制が安全策です。
Q3. 小円筋のトリガーポイントはどこに出やすい?
A3. 肩甲骨外側縁付近(起始部)に好発。関連痛は肩後外側~上腕外側に出ることが多いです。
Q4. 投球選手で何を優先して評価すべき?
A4. 後方関節包のタイトネス、外旋等尺・等張筋力、終末域での上腕骨頭の後方すべり、そしてHornblower’s signの有無をセットで確認します。
最終更新:2025-10-20
